エリアシ

テクノロジー B to Bマーケティング

コンテンツもメールも、情報提供は徹底した「学生目線」で!

~インバウンドリクルーティング入門<vol.4>~

さて、引き続き大手製薬メーカー・A社のインバウンドリクルーティングの事例をご紹介していきます。前回は、どのように学生に見つけてもらう(集客する)のか?ということをお話しいたしました。なお、この「見つけてもらう」という段階、つまり見込み顧客(リード)を獲得する活動のことを、「リードジェネレーション」と言います。
今回<インバウンドリクルーティング入門vol.4>では、A社のサイト「SCIENCE SHIFT」でリードナーチャリング(見込み顧客の育成・関係性を深めていくこと)をどのように進めているのかについて、可能な範囲でご紹介いたします。

pixta_17306901_XL_s

情報提供は、学生目線になっているか? それは中立な視点か?

リードジェネレーション(集客)では、一方的な押しつけの情報ではなく、学生目線での有益な情報が重要とお話ししましたが、これはナーチャリング(育成)でも同じです。
おそらく、人事担当者としては自社の魅力を伝えたいと考えるでしょう。しかし、就活の過渡期である2月~4月に、学生に対して他の企業と同じようなアプローチをしても差別化にはつながりません。とくに中堅企業は、大手企業のブランド力に勝てないでしょう。前回の記事でもお話ししましたが、インバウンドリクルーティングでは、学生が就活の準備を始める前の潜在段階にあるときからエンゲージメント(関係性)を構築していきます。ペルソナにとって有益な情報を考えるときは、新聞や雑誌等の編集記事をつくる編集長のような中立な視点でコンテンツをつくることが大事です。まだ学生があなたの会社の情報を調べてみようという気持ちになる前の段階で、たとえば「その情報の提供の仕方は、売り込みになってないか?」「情報の内容は押しつけになってないか?」、そして「その情報によって学生にはどのようなメリットがあるか?」 というように、学生目線で徹底的にコンテンツを考えていくことが重要なのです。

【参考】コンテンツをつくるときに大切な「編集長のような視点」について学ぶことのできる書籍をご紹介します。ぜひご一読ください。

「~編集者のように考えよう~ コンテンツマーケティング27の極意」 レベッカ・リーブ:著(翔泳社)

学生に継続的に情報を提供するための「就活に役立つ」プレミアムコンテンツ

A社の「SCIENCE SHIFT」では、リードジェネレーションの段階で、有益な情報として就活や医療業界に特化した情報が詰まったプレミアムコンテンツのebookを無料で提供しています。これを「オファー」と言います。
(オファーにはさまざまな形がありますが、ここでは説明は割愛します)

image3

このオファーをダウンロードしてもらうときには、以下のようなフォームに個人情報を入力してもらいます。

image4

このとき重要なのは、このオファーをダウンロードする価値やメリットをLP(ランディングページ)のスペースでしっかりと提示しておくことです。できるだけ視覚的にシンプルにこのオファーの魅力を表して、いかに学生の就活に役立つかを伝えます。これに学生が価値を感じてくれることで、初めてフォームにメルアドを含む個人情報を入力してもらえるのです。この瞬間、学生は見込み客化(リード化)することになります。
なお、他にもメルマガ登録を促進するメルマガ登録フォームを用意することもあります。

メールを送るときのポイントは、「押しつけないこと」

学生がリード化することによって、実際にメルマガを配信できるようになります。ここからマーケティングオートメーションの機能を使って自動メールを送っていくわけですが、ここで注意しないといけないのは、「決して押しつけてはいけない」ということです。しつこいようですが、すべてのコンテンツ、アクションにおいて「押しつけない」ということを徹底して貫かなければなりません。
なお、基本的なメールの送り方は大きく2種類あります。

①メルマガ

→日々のコンテンツの更新状況を学生に伝えるもの。読み物として楽しんでもらうことが大切

②トリガーメール

→学生が一定条件を満たしたら発動するオートメーションメール

メルマガの役割は、コンテンツの更新状況を伝えることです。ここで注意すべきなのは、リクナビのプレエントリーへ無理に促すようなことをしないことです。興味や関心があれば、学生は自分からメールを開封して文面をクリックし、インバウンドサイトへアクセスします。これまでご紹介したように、A社のインバウンドサイト「SCIENCE SHIFT」は、「明日の未来をつくる学生にとっての有益な情報提供」というコンセプトのもと、読み物として有益になる情報発信に徹しています。
一方で、トリガーメールの役割は何でしょうか。たとえば、資料Aをダウンロードした:5点、サイトのBというコンテンツページを見た:1点、合同企業説明会に来てくれた:3点等、特定の行動を行うことで点数をつけていき(リードスコアリング)、一定の点数を満たせばトリガー(引き金)が働き、自動で条件を満たした学生にのみメールを送ることができます。このような特定の行動条件を満たした際にどのようなコンテンツ付きメールを送るかを設定することを、「シナリオ設計」と言います。

<例:合同企業説明会直後のシナリオ設計>

image5

ここでのポイントは、社員紹介や福利厚生、経営戦略の方向性、またはキャリアステップ等の情報をいきなり送るようなシナリオを設計するのではなく、メールの開封状況をマーケティングオートメーションで把握しながら、押しつけないように配慮して送ることです。つまり、学生が具体的な会社の魅力等の踏み込んだ情報を受け入れる状態になっていることを確認してからメールを送るのです。多くの企業が失敗するのは、学生の意向を把握しないままにメールを送ってしまうことで、これでは開封もされませんし、ましてや中にあるコンテンツをクリックしてくれることはかなり低くなってしまいます。
このシナリオ設計についてはメールを主体に説明しましたが、そのほかにも、リード化した学生が検索エンジンを使ってサイトに再来訪したときに、自動的にその学生にとってマッチすると推測されるコンテンツに自動的に差し替えるようなこともできます。たとえば、ある学生が過去にコンテンツSというページを5回以上見ていた場合、コンテンツSのシリーズ企画のコンテンツTへの誘導バナーを、その学生が再来訪して着地するページに自動的に露出する、ということが可能です。これをスマートコンテンツといったり、オプティマイズドコンテンツと言ったりします。

シナリオ設計の罠とシステムの限界を知ること

これまでご紹介したように、オートメーション機能はマーケティングオートメーションの特徴であり魅力でもありますが、ここでよく失敗に陥るケースについてお話しします。
それは、シナリオ設計をつくりすぎて、シナリオを設計している本人が混乱をしてしまうことです。よくあるのは、母数となるリードの数が少ないにも関わらずたくさんのシナリオをつくりすぎて、じゅうぶんなデータが取得できないため良かったのか悪かったのか検証できずにPDCAが回せないというケースです。リードリストの数が一定量を超えないままに、テクニックにはまってしまうことが多いのでご注意ください。
また、マーケティングオートメーションは魔法の杖ではありません。システムは所詮システムにしかすぎません。マーケティングオートメーションによってナーチャリングした学生の想定プレエントリー数と実際のプレエントリー数、想定のES(エントリーシート)提出数と実際のES提出数をきちんと数値化し、比較分析したうえで課題を設定し、よりよく改善していくことが必要です。本当に受けてもらいたいけれどまだプレエントリーにも至ってない学生がいる場合は、電話でのフォローを入れてプレエントリー促進をする等、システムに頼らないきめ細かいフォローも有効なのです。

本記事のまとめ

  • 学生目線の情報提供が重要。編集長のようにコンテンツを考える
  • 学生が個人情報を提供しでても「入手したい!」と思うオファーにする
  • メルアドを入手しても、いきなり具体的な会社情報を押しつけない
  • シナリオ設計の罠、「シナリオのつくりすぎ」等に注意する
  • マーケティングオートメーションは、検証・課題設定を元に、よりよく改善していくことが必要

いかがでしたか? インバウンドリクルーティングは、学生目線で学生に主導権を与えながら関係性を構築していく、これからの採用手法といえます。<インバウンドリクルーティング入門>vol.3・vol.4に渡って、大手製薬メーカー・A社のサイト「SCIENCE SHIFT」での活動を具体的な事例として詳しくご紹介いたしました。ぜひ、新卒採用行動の参考として、実際の場面にご活用ください。

PROFILE

エリアシ編集部

株式会社電通西日本

エリアシ編集部です。地域のマーケターのみなさんに必要として貰えるコンテンツを目指して、エリアシを運営中。お役立ち情報を発信していきたいと思います。

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

[ 関連記事 ]

list_thumbs_image1

広告・マーケ担当者は押さえておきたい 展示会・イベント情報

広告・マーケ担当者は押さえておきたい 展示会・イベント情報【2018年8月】「エリアシ編集部」では、優れたテクノロジーや魅力的なサービス等、ビジネス(広告・マーケティング)の知見を読者の方々に提供すべく、みなさまの目となり耳となり足となって、日頃より実践的な情報をお伝えしています。

インバウンドマーケティング導入ガイド入門編Vol.3 インバウンドマーケティング成功に向けた簡易チェックリスト10項目 エリアシ編集部のクチコミ

月刊

電通西日本のメールマガジン
セミナー情報や広告トレンドを配信!!メールサンプル

INTERVIEW