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システムや機械任せにはできない! 通販事業を効果的に推進するための「人材と組織」とは?:後編

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.31〉

今回も前回に引き続き、通販事業を効果的に推進するための「人材と組織」について説明していきたいと思います。

1)人材・適材について

前回は、通販事業に適している人材の共通要素として「①好奇心が強い」「②顧客志向・自社(商品)愛が強い」「③きめ細かいことができる」の3点を挙げました。引き続き、人材に関して検討する時の着目点や注意点等についての説明をしていきます。

④リーダーシップが強い

リーダーシップを論じると一冊の本くらいの情報量になりますが、あえて一言で表すと「責任、信頼、統率力等を備えた人材」のことでしょうか。リーダーシップは、限られた方の特殊な能力ではありません。むしろ、まったくない方でも経験や自己研鑽などで積み重ねていけるものです。

しかし現場を見ると、(通販事業に限らないかもしれませんが)このリーダーシップが弱い・不足しているという状況をよく目にします。そして多くの企業ではリーダーシップを重要視し、強化する取組みをしているものの、ここを補強していくことはなかなか難しい課題のようです。

また、リーダーシップは組織やチームの中の推進責任者のみが発揮すればよい、というものではありません。スタッフ全員が目線や方向を合わせて自主的に前進することで、効果的な事業成長につながっていくのです。では、この「リーダーシップ」をなぜあえて重要点として挙げたのか。これまで「通販事業はシステマチックな側面と俗人的な側面がある」と説明してきましたが、リーダーシップがこの両輪をしっかりとつなぐ機能だからです。

通販事業を進めていくと、高確率でルーティン作業的になる傾向があります。そして、作業的に業務をこなしていくと、効率は改善あるいは維持しやすいのですが、事業は間違いなく先細っていきます。また、前回述べた3つの要素が備わった人材はチームとして構成すると大きな推進力を得ることができますが、一方で統率が難しくなりやすいという側面もあるため、それらのベクトルを調整するような役割としてもリーダーシップの備わったリーダーが必要なのです。

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2)組織について

組織設計は事業社の状況により多様であり、オーダーメイドのようなものなので説明が難しいのですが、事業立ち上げ時から黒字化くらいまでをイメージし、実例を交えながらタイプ別に説明していきたいと思います。

①リーダーシップ発揮タイプ

強いリーダーシップが発揮できる方ひとり、またはプラス数名で構成されるチーム例です。小規模で立ち上げる通販事業では、よく目にするケースではないでしょうか。オリジナル商品をきちんと開発し、将来的なビジョンがある程度形になっている事業社で多く見られます。

チームのリーダーの目的意識が高く、責任感も備わっていると比較的スムーズに事業が立ち上がり、経験がノウハウとして蓄積されやすいようです。デメリットとしては、黒字化するくらいまではよいのですが、ずっとこのリーダー依存型で進めていくと、本人以外のスタッフが成長しにくいということが挙げられます。リーダーが強い推進力を発揮する反面、他のスタッフは作業者化しやすいため、ルーティン的な作業手法は覚えますが、通販事業の最重要ポイントとも言える「思考する」力がチームに蓄積されにくくなるのです。

しかし、事業立ち上げ時から完成された組織を求めることはないものねだりとも言えるので、初期段階のチームとしては成功に結びつきやすいよい構成だと思います。ですので、黒字化のタイミングを見計りながら、同時に先の組織設計をしておくようにするのが望ましいです。

 

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②合議タイプ

通販以外の業務と兼任で、数人が配置されるケースです。業務に専念しにくいことに加えて、責任者のリーダーシップが低いと合議で進める組織になりやすいようです。一見、チームで進められるよい組織のように見えますが、合議のために時間を浪費してしまう非効率な運用になりやすいので注意が必要です。

未経験者が兼任で配置された場合、みんなが不安な状態になるので、スタッフの意見を最大公約数的にまとめる「合議」で進めてしまいがちなのですが、そもそも事業を進めるための経験が不足しているのですから、そのスタッフの合議で得られる結論は最適解になるとは限りません。また、合議による多数決的な組織になると、経験不足を補足するためにコンサルを参加させても、結局最終的な決定プロセスが合議になってしまうので、外部の知恵も活かしにくくなります。

もちろん、スタッフのさまざまな意見をテーブルにのせて議論することは大切です。しかし、最終的には最大公約数的に決まったプランや主観の強い声の大きなスタッフの意見に流されるのではなく、知識や目的意識が高いリーダーがある程度のセオリーや実例等を参考にして意思決定していくべきでしょう。そのような組織運営にすると、合議とは異なった選択をリーダーがする場面が多くなるので少し強引に見えるかもしれませんが、事業がある程度安定するまではリーダーが引っ張るような進め方がよいように思います。兼任で複数人の組織を設計する場合は、リーダーの選定と事業推進にあたっての進め方を注意したほうがよいでしょう。

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③経験者の外部採用タイプ

新しい事業を立ち上げる際には、なるべく経験者を配属したいと考えるのは当然だと思います。しかし、そう都合よく社内に経験者はいないので、外部からの採用を考える事業社が多いのが実情のようです。このケースも、一見よい組織設計のように見えますが、失敗するケースも見受けられますので注意が必要です。

失敗の理由は、外部から採用した人材のスキルが事業推進リーダーの必要水準に満たないことにあるように思います。そのようになる原因は、大きくふたつあります。ひとつは、経験者自身が自分のスキルを客観的に評価できていないケース。通販事業はシステマチックなので定型化しやすく、それらを一通りできるようになると「通販事業がわかった」と思ってしまうようです。通販企業で2,3年現場経験をすると、このような誤った自己評価をして、自分のスキルを過信する方が多くなってきているように感じます。もうひとつは、採用面接官に経験者がいないケースです。経験者でなければ採用候補者のスキルを評価することは難しいので、当然といえば当然と言えます。

外部から採用した経験者自身の客観的なスキル評価ができておらず、採用側も多方面から実態を見抜くことができないことが重なって生じるこの失敗ケースは意外に多いかもしれません。

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うまく外部の力を借りることも、しっかりした「人材と組織」をつくる鍵

前回・今回を通して、通販事業を推進する核であり両輪とも言える「人材と組織」について、詳細をお話ししてきました。

通販のシステマチックな仕組みは、書籍やセミナーで知ることが容易になりました。しかし、適正な人材の評価や組織の運用はアナログなので、画一的には捉えることができません。いったん事業が立ち上がると、途中でスタッフや組織を改編することは難しくなるため、社内に経験者がいないのであれば外部から協力を得るなどして、立ち上げ前にしっかりと検討しておかなければなりません。

また、事業がうまく進まない時は、小手先の戦術を取るだけではなく、人材と組織の評価を外部に依頼することも有効です。オリジナル商品を扱う事業社で多く見られる「できるだけ自社内でやろう」という姿勢は重要ですが、できることとできないことを区分して、不足しているものは外部からの協力を得ることも有効だと思います。

通販事業の多くはシステム化が進んでおり、今後もAI等に移行できる部分が多くなると思います。しかし、とくにエンドユーザーと直接関係性を積み上げていくBtoC事業では、人の感性はまだまだAIやシステムに変えられない部分が多いので、人材と組織と言うしっかりした土台をつくっておくことは最も重要だと思います。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネス推進室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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