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マーケティング

ビジュアル・アイデンティティー(VI)がもたらす、地域ブランドの価値(1)


コロナ禍で消費行動が大きく変化する中、農産物をはじめとする地域ブランドの存在価値が高まっています。これからの時代に求められるブランドイメージについて、石川県金沢市の伝統野菜におけるブランディング戦略を紹介します。

金沢市の伝統野菜「加賀野菜」。「加賀れんこん」や「五郎島金時」など、金沢市農産物ブランド協会が認定する15品目で構成されています。売れ行き好調な野菜もあれば、生産者がたった一人の希少品目もあり、ブランド全体のイメージ底上げが急務でした。2020年秋、市と同協会は加賀野菜のロゴマークをリニューアル。令和の時代にふさわしい伝統野菜のイメージの発信と販売促進に乗り出しました。

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伝統野菜のイメージは伝統の家紋で

ロゴマークは加賀藩の象徴「梅鉢紋」がベース。これまでの加賀野菜にも使われていた、金沢市民には馴染み深いモチーフです。赤色は生産者の情熱を、中央から放射状に伸びる線は「光」や「輝き」をイメージ。「日本が誇る伝統野菜が光を放つ」という意味が込められています。
このロゴマークで注目すべきは、古いものを否定し新しいデザインをゼロから立ち上げるのではなく、もともとその土地にゆかりの意匠を大切に継承している点。これまでに培ってきたイメージを完全に分断してしまわないよう配慮し、生活者に対してはコミュニケーションスピードが早く、地元の関係者に対しては親和性が高いという、二つのメリットをもたらしました。
ロゴマーク刷新により伝統野菜のブランド価値をさらに高め、作り手の増加と、生産者が途絶えてしまう懸念がある野菜の再興も目指しています。ブランド価値の再構築が、地域に豊かさをもたらした一例といえるでしょう。

制作を手掛けた電通西日本金沢支社の木下芳夫CDは「装飾的な緻密さよりも簡素さを意識し、ひとつの形に意味を込めた。Gマークやウールマークのような、普遍的に信頼される品質保証マークを目指したい」と語ります。

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ロゴの価値を上げる、プラスアルファの工夫

かがやく美味しさ 加賀野菜――ブランドの再定義にあたり、加賀野菜ブランド独自の言葉も定めました。ロゴマークに言葉をプラスすることで、受け手へのイメージの浸透を図るためです。重視したのは「生活者の目線」。感覚的なもののみに頼るのではなく、誰が見ても、聞いても分かりやすい言葉に置き換えました。

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「デザイナーの感覚で作ったり、ゼロから作ったりするものが必ずしも良いデザインだとは言い切れない」と木下CD。大切なのは課題を見つけるための対話。問題を抱えている人の話を丁寧に聞くことだと語ります。「新しいことはしていない。整理しているだけです」。その土地にもともと存在しているものや、培われ、受け継がれてきたものの中にこそ、ヒントは存在しています。新時代の地域ブランド構築は「伝統を礎にした革新」が一つの鍵になるのかもしれません。

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Profile

kinoshita

アートディレクター/グラフィックデザイナー

木下芳夫

グロースプランニングセンター所属、金沢支社駐在。
アートディレクターの視点を生かしたプラスαの企画提案を心がけている。
〈主な受賞歴〉

D&AD賞 Yellow / Graphite / Wood Pencil、CRESTA賞 Gold / Silver / Bronze、ADSTARS Silver / Bronze、
Cannes Lions Finalist、ONE SHOW入賞、NYTDC賞 Typographic Excellence、グッドデザイン賞など。

PROFILE

エリアシ編集部

株式会社電通西日本

エリアシ編集部です。地域のマーケターのみなさんに必要として貰えるコンテンツを目指して、エリアシを運営中。お役立ち情報を発信していきたいと思います。

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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