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マーケティング

ビジュアル・アイデンティティー(VI)がもたらす、地域ブランドの価値(2)


前回紹介した伝統野菜のブランディングに続いて、石川県金沢市が強化に取り組むもう一つの地域ブランドが水産物です。全体のブランド力向上と個別商品の差別化など、VIを中心にしたプロジェクトが、2021年冬、いよいよ本格始動します。

金沢港で水揚げされる水産物の中で、知名度が高いものはズワイガニのオス「加能ガニ」、ズワイガニのメス「香箱ガニ」と、漁獲量全国トップクラスを誇る甘えび。金沢市は「加賀野菜」のブランドイメージ構築に次いで、水産物のブランド化にも乗り出しました。先に述べた加能ガニ、香箱ガニ、甘えびのうち、それぞれ一定規格以上のサイズや品質のものを選別。統一ブランドによるPRと、生産者別のシール展開での差別化を図っています。

image01ロゴマークとロゴタイプ

三ツ星にさまざまな思いを込めて

海産物全体は「金沢」という言葉でブランドを統一。全国的に好感度、知名度が高い都市ブランド「金沢」を有効活用し、素材の良さをシンプルに伝える方法を選びました。コロナ後のニューノーマルな社会において、お取り寄せを意識した産地表示や振る舞いを重視しています。ここでは旧ロゴで使用していた「金沢の海の幸」という言葉を発展させて、「海幸金沢」に改称しました。
ブランドロゴは海を意味する波線の上に、星を意味するアスタリスク「***」を配置。金沢の象徴「梅鉢紋」を金色の星として表現しています。「***」には他に、船の漁火や宝、三ツ星、三方よしの意味も込められました。

「デザインするよりも前の段階で、『金沢』というブランド力の高い言葉に注目した。『金沢』と付けることで、最短距離で統一化が図れる」と電通西日本金沢支社の木下芳夫CD。今まで聞いたことがないワードを開発する「ゼロスタート」よりも、培われてきたイメージを財産として最大限に活用する道を選んだそうです。

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プレミアムな「金三ツ星」と漁師個別のタグ展開

水産物全体を統一する海幸金沢の傘下のブランドとして、プレミアム規格品は「加能ガニ金沢」「金沢香箱」「金沢甘えび」と、それぞれに金沢の名を冠しました。漆に金箔をイメージしたタグを付け、通称「金三ツ星」として付加価値を高めます。将来的にはブランドパワーの最大化を図り、ロゴマークを産地表示として展開することも視野に入れています。また、金沢港に水揚げする漁船それぞれの名称が入ったシールを作成。個別のブランド化やトレーサビリティでの活用も期待されています。

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かつて金沢港の水産物は、ブランド表記や出荷規格が支所ごとに異なっており、イメージや品質の統一が図れていませんでした。ロゴ刷新を機に、漁業者が心を一つにして三ツ星ロゴを使用するとともに、出荷規格を統一。ワンチームで金沢の水産物のブランド化に取り組んでいます。
海幸金沢のブランドがお披露目されたのは2020年冬のシーズン最中。最初の競りでは想像以上の高値で取り引きされ、さっそくブランド力の真価を発揮しました。本格的なブランド展開は今冬からスタートです。カニ漁が解禁される11月には、海幸金沢、加能ガニ金沢のタグが皆さんの目にとまることを期待しています。

デザインには見た目の派手さや斬新さが求められがちですが、本当のデザインとは、ブランド価値を向上させ、生産者を守り、豊かな地域づくりに寄与するもの。今あるものの魅力に気付き、その魅力を周囲にどう伝えていくのか。デザインが地域のコミュニケーションに果たす役割は、ますます大きくなっていくことでしょう。

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Profile

kinoshita

アートディレクター/グラフィックデザイナー

木下芳夫

グロースプランニングセンター所属、金沢支社駐在。
アートディレクターの視点を生かしたプラスαの企画提案を心がけている。
〈主な受賞歴〉

D&AD賞 Yellow / Graphite / Wood Pencil、CRESTA賞 Gold / Silver / Bronze、ADSTARS Silver / Bronze、
Cannes Lions Finalist、ONE SHOW入賞、NYTDC賞 Typographic Excellence、グッドデザイン賞など。

PROFILE

エリアシ編集部

株式会社電通西日本

エリアシ編集部です。地域のマーケターのみなさんに必要として貰えるコンテンツを目指して、エリアシを運営中。お役立ち情報を発信していきたいと思います。

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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