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プロモーションの目的、「ブランディング」と「レスポンス」で分けて考えるべき? 両立するべき?~通販事業のブランディング戦略②

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.33〉

通販事業での「ブランディング」と「レスポンス」の考え方

前回に引き続き、「ブランディング」をテーマに説明します。独自性や付加価値が高い商材を扱う事業社にとって、ブランディングはとくに重要なマーケティング要素ですが、直接的な売上への寄与や目標設定・費用対効果の計測が難しいので軽視されがちです。受注を促す広告出稿やDM等は実施しなければ、売上や目標数値に対しての影響が見えるので忘れるということはありませんが、レスポンス目的以外のプロモーションはそもそも短期的な効果測定がしにくいので、より戦略的・計画的に取り組まなければなりません。そのような側面を捉えると、ブランディングには販売目的のプロモーションとは異なる難しさがあります。

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通販事業では、広告等のプロモーション目的を「ブランディング」と「レスポンス=販売」に分けて考える事業社が多いようです。目的が販売であれば商品に関する情報が多くなる傾向に、それ以外の販売に結びつきにくいような、たとえばCSRや企業情報・PR等はブランディング、というような考え方に基づくようです。さらに、現場では「レスポンス広告」「ブランディング広告」というような言葉のやり取りがよく見られます。
しかし、そもそも「ブランディング」という言葉の意味は「ユーザーに認知してもらって企業のイメージをつくるための活動」なので、どちらもブランディングと言えるのです。とは言え、レスポンスとそれ以外(CPO、LTV等で評価しにくい=しない)というように、プロモーションの目的別で区分したほうが通販事業を展開しやすいと思いますので、言葉本来の意味とは少し異なりますが、ここでは販売目的のプロモーションを「レスポンス」、それ以外を「ブランディング」と定義して、以下留意点3つを説明していきます。

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①レスポンスとブランディングは、分けて考えたほうがよい

この2つを分けて考える理由は、レスポンス目的のプロモーションが目的からずれるのを防ぐことと、きちんとしたブランディングプロモーションを行うためです。「プロモーションの目的がずれる」とはどういうことか、事例を挙げてみます。

リーダー
「先日の新企画の実施可否を判断したいと思います」
A
「企業情報による信頼感の醸成は、レスポンスにつながる可能性があるのでは?」
B
「商品購入に直接結びつかない情報は訴求がブレるので、レスポンスは低下すると思います」
リーダー
「判断は難しいですが、企業のブランディングにもなるので実施してみようと思います」

このような会話は、企画検討・判断スキルが低いように思います。
現場では、頻繁にプロモーションの提案を受け(あるいは社内で策定し)、検討・実施を繰り返しながらPDCAを回しています。そのような中、「ブランディングにもなるから」という言葉は失敗した時の言い訳にしかなりません。もちろん、試したことがない企画やクリエーティブは実施してみなければわからないことも多く、基本的にトライアル&エラー&リトライ、つまりPDCAをきちんと回していくことが原則なので、失敗するリスクを恐れすぎても前に進めません。

しかし、そのプロモーションの目的がレスポンスであり、それに対する目標値が割り当てられているのであれば、「その数値は必ず達成する」という意思がなければトライする意味はないと思います。もし、目的をレスポンスからブランディングに変えるのなら、予算修正を検討する必要もあります。修正しなければ、本来レスポンス目的で使用した予算に対しての結果が残り、目的とプロモーションの整合性が取れなくなるからです。

少し細かすぎるように感じるかもしれませんが、CPOが数百円変動することで一喜一憂する事業では、これくらいのシビアさは必要です。目標に対して予算計画を立て、プロモーションを実行して評価するということの誤差を少なくしていくためには、レスポンスとブランディングをはっきり分けて考えることは有効といえます。

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②分けて考えることの弊害

分けることによる弊害もあります。クリエーティブの検討をしているときに起こりうる事例です。

事業社
「信頼感につながるような企業情報を多くしたいのですが」
制作担当
「企業情報はレスポンスに直接つながりにくいので…、目的はレスポンスではないのでしょうか?」
事業社
「目的はレスポンスですが、少し企業の差別化もしたくて…」

このようなケースでよい進め方ができる人は意外と少なく、通販業界の課題上位に常に人材不足が挙がっている背景が垣間見えるような一場面です。この事例をどのように捉えればよいかというと、「どちらか二者択一で判断すべきではない」です。「レスポンスとブランディングを区分して、目的設定と予算管理を厳密にしましょう」と言っておきながら、真逆に感じるかもしれませんが、そうではありません。

目的がレスポンスかブランディングかをはっきり分けなければならないのは、前述①のような予算付けと結果計測に関してであり、クリエーティブや企画の構成要素は混在していても問題ないと思います。むしろ、混在=ミックスさせるように頭を使うことが、ダイレクトマーケティングの本質とも言えるのです。

実際には、レスポンス目的であれば商品情報等はレスポンスに結びつきやすい構成になりますし、ブランディング目的であれば企業やCSR等の情報がメインになるでしょう。ここで言いたいのは、構成要素に関する議論のスタート時点で他の要素を排他するのではなく、大きな費用がかかる広告やDM等のプロモーションの効果を最大化するように頭を使っていくべき、ということなのです。

また、新入社員が現場でも前述①のような割り切った考え方を持ってしまうのは要注意です。考える努力をしなくなり、知恵を絞りだすことができなくなりかねないからです。通販事業は、「KPIでコントロールできる」というシステマチックな側面と、いかに「人=事業社スタッフ」が「人=顧客」に対して質の高いコミュニケーションが取れるか、という俗人的な側面の両輪で構成されています。

だからこそ、「顧客のために、ブランディングとレスポンスの要素をどう混在=ミックスさせればよいか」を徹底的に考え、知恵を絞りだすことができる人材を育成することが、通販事業の展開において大切になってくるのです。

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③両立して考えることの危険性

「分けたほうがよい」「分けないほうがよい」ときて、「両立させることの懸念」とくれば矛盾を感じるかもしれませんが、ある程度の知識と現場経験があればまったく問題ないことが実体験と重ね合わせて理解できるでしょう。
では、「両立させることの懸念点」とは具体的にはどういうことなのでしょうか。簡単に言うと、前述した②(クリエーティブや企画の目的に応じて、ブランディングとレスポンスの要素をどう混在=ミックスさせるかについて)を丸投げにしてはいけない、ということです。

ここでいう丸投げは、「上司→部下」「事業社→外注先(企画、制作)」のパターンで発生しがちです。さまざまな状況があるので、画一的には説明しにくいのですが、②で注視すべきはプロセスであって、形になったクリエーティブや企画のみをみて「どちらも成り立たせろ」というような無理難題を言うというのは論外なのです。

もう少しわかりやすく言うと、発信者である上司あるいは事業社は、その先の部下や外注先がきちんと考えたのか=知恵を絞り出したのかというプロセスを把握・評価し、そのうえで形になったクリエーティブや企画に異論があるのであれば、具体例を提示すべきです。これは人材育成という点でも気をつけてほしい部分です。

「ブランディング」のポイントとは

「ブランディングそのものが必要ない」「売れないブランディングは必要ない」「売れなくてもブランディング効果はあるので、継続すべきだ」…さまざまな定説的な主張があります。どれも正しく、どれも正しくない、つまり一理あります。ここでのポイントは、プロモーションの内容やブランディング戦略に照らし合わせた時に、生じている不整合点とその原因を見つけられるか、ということだと思います。

 

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネス推進室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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