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通販/ダイレクト

ベストタイミングは「黒字化」! セットで考えるべき商品展開とブランディング  ~黒字化以降の商品展開①

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.44〉

顧客主義、そして商品展開の重要性

前回までは黒字化以降の戦略と課題として「顧客リピート」のテーマで、主に対顧客マーケティングの考え方・顧客への向き合い方について述べてまいりました。BtoC事業における顧客主義は事業の成否を分かつ土台であり、さまざまな具体策の品質に影響するものなので、顧客リピートに限らず常に意識することが理想ですが、日々の作業や数値に追われていると見失いがちになってしまう傾向があります。そのなかでも顧客リピート施策を検討するときは顧客を意識せざるを得ないので、チームの方向性とスタッフの意識が顧客に沿っているかをチェックするよい機会でもあるのです。

さて、今回からは事業規模が黒字転換くらいのステージを想定した商品展開について情報発信していきます。本来であれば扱う商材や事業方向性に応じた細かな戦略の検討が必要なテーマなので、本記事での発信には少々合わないようにも思いますが、できるだけ参考にしていただけるように対象ケースを示しながら説明していきたいと思います。

また、商品展開(戦略)は、以前に記事にした「ブランディング」との関連性が強くなります。商品のみではなく、常にブランディングおよび「自分たちの会社はどのような会社で、何を売るのか」をセットで考えると、短期だけでなく中長期的で戦略的な商品展開を検討しやすくなるのではないでしょうか。そのような点も含めてお伝えできればと考えています。

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商品展開を検討するなら「黒字化」がベストタイミング

通信販売でも、BtoBtoCのようにエンドユーザーとのダイレクトマーケティングではない事業モデルも存在はします。しかし、通販事業という販売手法でエンドユーザーに対するダイレクトマーケティングを行うのであれば、商品展開は重要な課題です。さらに差別化戦略を取り、独自性や付加価値が高い商品を扱うのであれば、最重要課題と言っても過言ではありません。そうであるにも関わらず、販売の現場を見てみると、検討不足により先を見据えた戦略としては少し弱いと感じる場面も見受けられます。エンドユーザーと直接関係性を構築していきながら、おつき合い(売り上げや関係性)を積み重ねていくことを目的とする通信販売では、短期的な成果はもちろんのこと、中長期的な戦略の検討が必須なのです。

顧客リピート型の通販事業では、新規顧客獲得の損益分岐に時間がかかるので、数年間の事業数値計画を立てることが一般的です。一方、商品展開(戦略)は商品単位の具体化までなくともイメージでもよいので、10年くらいの方向性を形にしておいた方がよいでしょう。とはいえ、事業を立ち上げて最初の目標となる黒字化までは、先の商品展開を検討する機会や意識になりにくいのが現実のようにも思いますので、黒字化のタイミングに合わせて重要課題として着手すれば、しっかりとした議論をしやすいでしょう。もちろん、扱う商品の種類や市場規模、シェア等が関係するため、検討するベストタイミングはさまざまですが、検討できていない事業者はひとつの節目である「黒字化」というタイミングを目安にするのもよいのではないでしょうか。

それでは具体的に、リピート系通販で代表的な「食品」「化粧品」「健康食品」で分けて説明していきたいと思います。

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1. 食品通販

食品通販と言ってもさまざまな事業モデルがありますので、まずそこから整理していきましょう。検討するにあたり、「自分たちの販売する商品が何なのか」を明確にする必要があります。「何をわかりきったことを」と思うかもしれませんが、冒頭で説明したブランディングと併せて考えるには、まずスタート地点とも言えるここから整理した方がわかりやすいからです。

事業成長に必要な「展開領域の拡張」

大まかに分けると、「①商品そのもの」「②商品に使う素材や加工技術」「③事業者に由来するもの」の3区分にすると考えやすいのではないでしょうか。架空のぶどう農園を営む事業者を例にすると、「①ぶどうジュース」「②ぶどうと、ジュース以外のぶどう加工食品」「③ぶどう以外の農産物や加工食品」という感じです。展開する市場規模は、①→③の順に大きくなる、つまり事業拡大・成長できる余地が広がります。事業スタートは必ずしも①からではなく、②や③からも可能ですが、すでにブランディングが確立されて企業名やイメージが定着した大企業以外は、新規顧客獲得のリスクや事業展開のしやすさなどを考えて①からスタートするケースが多いように思います。リスクを抑えた堅実な事業立ち上げを考えると、事業の成長に合わせて事業領域を拡大する①→②→③のステップアップは負担が少なく、ブランディングを合わせて行っていくことで事業拡張ができることもメリットです。

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商品展開とブランディング、顧客コミュニケーションの強い関連性

そして、①→②、②→③への移行時の新商品選定や顧客とのコミュニケーション設計は、しっかりとしなければなりません。また、顧客コミュニケーションにブランディングを重ね合わせて検討しなければ、せっかく獲得した顧客との関係性が弱くなります。目の前にある開発しやすい、あるいは短期的に成果が出やすい商品を投入することは、ブランド力の低下を引き起こすことにつながりやすいので注意しましょう。とくに食品通販は新商品開発がしやすいため、陥りやすいリスクのひとつです。

また、顧客リスト=自社顧客は通販事業社にとって最大の資産であると考えますが、この資産価値は相場のように上昇・下落します。この上下に関わるのがブランディングと捉えるとわかりやすいかもしれません。顧客に対するプロモーションのレスポンス関連数値(受注率、購入点数、購入金額等)は顧客価値の指標のひとつではありますが、すべてではないので単に売り上げ実績のみで評価し、顧客との真の関係性の把握を誤らないように注意してください。前に例示した架空のぶどう農園を営む事業者で説明すると、ぶどう生産者に対する信頼や付加価値に共感してぶどうジュースを購入した顧客に、説明やそれによる理解を得られないまま、ぶどうと関係ない商材、たとえばマンゴーを案内すると顧客がどう感じるでしょうか。これまで通販市場に携わってきて、この架空のぶどう農園のパターンのように、ブランディングの連動が弱いまま商品展開を進めたことによって苦戦した事業者を見聞きしてきました。そして「説明やそれによる理解」と記したのは、単に情報を発信しただけでなく、「顧客がそれに対して理解と共感を持てたか」というところまで検証する必要があるということを伝えたい意図があるからです。このような部分はBtoCの醍醐味でもあり、難しさでもあるように思います。

ある程度の数の顧客を獲得すると、顧客に対するプロモーションの採算性がよくなるので、新商品の投入=売り上げアップを目指すことになります。しかし、ブランディングとそれに沿ったコミュニケーションができていなければ徐々に顧客価値は低下し、購入回数、購入金額が下降曲線を描き始めます。いったん悪化し始めると有効な手段は限られており、場合によっては抜本的な事業展開を考え直さなければ立て直せないという状況にもなり得ます。差別化戦略をとっている事業者の商品に顧客が独自性や付加価値を感じなくなれば、その通販事業社で購入する意味がなくなるからです。食品は化粧品や健康食品よりも新商品投入がしやすく、黒字化くらいのタイミングだと売り上げアップの即効性もあるので、つい目先の成果を求めた商品開発をしてしまいがちです。もちろん、早い新商品開発自体は悪いことではないのですが、それに対してきちんとした情報を発信し、せっかく事業者の方を向いてくれた顧客の期待に沿っているのかを考えてチェックすることを前提とするべきでしょう。

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まとめ:食品通販の重要ポイント

食品通販は比較的多くの商品を扱う傾向にあるので、商品展開(戦略)を検討する際に見落としや検討不足も多く発生しやすいように感じます。一概に成功方程式のような情報提供をするのは難しく、本来であれば個別の状況に合わせた検討が必要ではありますので、黒字化のタイミングで今後の方針を見直しするのが望ましいと思います。
本記事内容が少しでも、効果的な事業推進の一助になれば幸いです。

次回以降も商品展開(戦略)の検討について、「化粧品」「健康食品」を対象ケースとして説明していきます。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネスプロデュース室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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