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テクノロジー B to Bマーケティング

リードジェネレーションとリードナーチャリングをセットにする必要があるのはなぜか?

~「新時代を生き抜くBtoBマーケティング入門」~ VOL.2

インバウンドマーケティングとは、
マーケティングの手法ではなく、考え方であるということ。

今回は、前回の記事で冒頭に触れた、インバウンドマーケティング(Inbound Marketing:以下IM)について、お話ししたいと思います。(ちなみに、観光やコールセンター業務などで使われる「インバウンド」とは意味が異なるということを予め知っておいてください)

なぜIMが注目されるのか?

顧客に押し付けるのではなく、顧客に見つけてもらう。

※アメリカ/ボストン本社のハブスポット社訪問時の1枚
※アメリカ/ボストン本社のハブスポット社訪問時の1枚

インバウンドマーケティングとは、アメリカのボストンに本社を置くHub Spot 社(以下:ハブスポット)のCEO Brian Halligan 氏が提唱した古くて新しいマーケティングコンセプト。日本国内では2014 年頃から急速にBtoB 系の企業によって導入されています。なぜ、これほど注目されるようになったのか。それは、企業側が顧客に情報を与えるという従来のやり方とは真逆のマーケティングであり、かつそれが確実な成果をもたらししているからです。ハブスポット社では、一方的に情報を流すコミュニケーションを「アウトバウンドマーケティング」、逆にユーザー側に見つけてもらうコミュニケーションを「インバウンドマーケティング」と、それぞれ定義しました。(下図参照)興味のない情報を一方的に押し付けられるよりも、自分の悩みを解決する有益な情報を自ら見つけてくる方が、人は共感し、信頼し、更なるアプローチを望む。そんなマーケット構造が近年確立されつつあるのです。もちろん、この背景にはインターネットの普及による「WEB 検索行動の日常化」が関係しているのは言うまでもありません。こうして自らアプローチしてくる見込み客を効率的に増やし、的確にアプローチしていくために使う手法がマーケティングオートメーション。ユーザー行動の可視化だけでなく、広告効果や費用対効果計測、メール配信機能、記事コンテンツ生成などをマーケティングオートメーションツールで行うことは、前回の記事でお伝えしたとおりです。

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IMを円滑に運用するための両輪
リードジェネレーションとリードナーチャリング

インバウンドマーケティングでは、「リードジェネレーション(見込み客の確保)」と「リードナーチャリング(見込み客の育成)」という2 つのプロセスを重視します。いわば、この2つはIMというコンセプトのもとで、マーケティングを成功させるための両輪です。(下図参照)
例えば、人材採用をイメージしてみてください。採用は、仕事内容や将来の事業展開に照らし合わせて、人材を選別することから始まります。将来、どのように育ってくれるか、スキルや適性を見て、採用を決めます。入社後は、その人材をしっかり育てるのが企業としての役目です。IMも全く同じことが言えます。いい見込み客を引き寄せ、きちんと確保して、そして育てる。そうすれば、将来的には質の高い顧客になる可能性がぐんと高まります。
ところが、現在の日本国内では、前輪のリードジェネレーションはおろそかになり、後輪のリードナーチャリングのみの対策に特化せざるを得ない状況にあります。これでは、IMは成功しません。ここには日本ならではの要因があり、事前に対策をしておく必要があります。

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事前に知っておくべき
IMの運用を阻む日本独自の3要因

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①コンテンツマーケティングは誰がやる?

リードジェネレーションに欠かせないのがコンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングとは、見込み客の視点に立ったコンテンツを作り、見込み客との良好な関係を作ることを言います。(詳しくはこちら:電通西日本コーポレートサイトのコンテンツマーケティングページ)しかし、企業からMAを依頼されているMAコンサルタントは、売上げが低く、アイデアやクリエイティブを必要とするコンテンツマーケティングをなかなか自社で引き受けようとしません。つまり、「コンテンツマーケティングは専門の会社をご紹介しますので、そちらへどうぞ」ということです。企業から見れば、専門の会社がやってくれるなら安心と思いがちですが、ここに大きな落とし穴があります。例えば、Aさんという見込み客のコンテンツの閲覧行動や資料ダウンロードなどの行動と、その行動データを分析して適切なメールマーケティングを個別に行うことは一連のフローです。しかし、別々の会社が行うことでリードジェネレーションからリードナーチャリングへという一連の作業が断絶してしまい、適切な仕掛けが行われない可能性が出てくるのです。アメリカのように個人情報が売買されているような環境では、大量に個人情報を買って、メールを配信し続ければいつかは、角度の高い見込み客に当たるかもしれません。しかし、主に展示会などで大量のハウスリストを得ている日本の状況では、展示会の運営にかかるコストも膨大ですし、業務にかけるパワーも違います。そこから、真の見込み客を効率的に確保するには、きちんとした戦略に基づいたコンテンツマーケティングや展示会の企画を行うことが大前提です。その上で、リードナーチャリングが機能するということを忘れてはいけません。

②マーケティングの環境変化に追い付けない経営者

日本の職人気質である「良いものを作れば売れる」という信念は大切ですが、マーケティングの重要性を再認識する勇気も必要です。こうした企業に比べると、外資系企業やIT企業は、インバウンドマーケティングの理解と運用に秀でており、手つかずにいるとますます水をあけられてしまいます。また、BtoB企業の多くは営業マンの個人力と製品開発力に頼る傾向が多く、専門の「マーケティング部」を持たない企業も多いようです。会社組織として、マーケティングをどう位置づけ、どう配置するのか。それを明確に示すのは、紛れもない経営者(決裁権者)なのですが、IMへの理解が進んでいないため、単純にMAコンサルタントに任せておけば大丈夫とか、システムは導入したから安心という罠に陥ってしまいます。

③噛み合わない社内連携

BtoB企業に限ったことではないのですが、マーケティング部門と営業部門は基本的に仲が悪いようです。マーケティング部門が展示会やウェブサイトで見込み客リストを作り、それを営業部門に渡しても、ちっとも営業活動してくれない、という声をよく聞きます。これには、「マーケティング部門が入手したリストでは商談につながらない」という営業側の言い分もあるようです。マーケティング部門はリストを作ること自体が目的化しており、一方営業部門はすぐに売り上げが見込めるリストが欲しい。これでは、適正な見込み客を確保し、育てるという一連の行為が完成するはずがありません。セクショナリズムが強い大企業であればあるほど、両者の意識のずれは広がるばかりです。本来は、マーケティング部門と営業部門が手を取り合って、同じ方向を向く必要があるのですが、現実はなかなか難しいようです。例えば、マーケティング大国であるアメリカでは、営業機会の創出を専門に行う「デマンドセンター」という部署があり、営業支援をバックアップしてくれる体制があります。しかし、こういった組織が日本で定着するのは、まだまだ先のことでしょう。では、社内連携をスムーズにするためにどんな打開策を講じればいいのか。それについては、次回の記事でご紹介したいと思います。

IMという考え方を自社の戦略にどう落とし込むか

適切なツール選びがポイント
Marketing Strategy Team Business Commercial Advertising Concept

IMやMAの問い合わせの際に多いのが「見込み客リスト確保が自動化されるシステムがあるらしいから導入したい!」というご相談です。しかし、この発想では「リスト化させる」こと自体が目的になってしまいかねません。まずは、自社の売上構成、売れ筋商品、営業課題、展示会出展状況、組織間のセクショナリズム、導入している顧客管理システムなど、現状をしっかり把握することから始めましょう。そして、どのような方針で見込み客を確保し、育てるのか、戦略を立てる必要があります。また、将来的には内製化することを目標に、社員のITスキルレベルにあった適切なMAを選定することも重要でしょう。

最後にもう一度強調しておきますが、インバウンドマーケティングというのは、コンセプトであり、現在のネット社会におけるユーザーに対する向き合い方、もしくは考え方です。見込み客との信頼関係を築くリードジェネレーションの段階では、見込み客の意思を尊重して、有益な情報提供を行っていきます。言わば、「Give&Give」です。すぐに受注に至らなくても、長い視点で関係性を築いていくのだと認識しておきましょう。
そして、自社の戦略に合わせたシステムを導入すること。Hub Spot社のマーケティングオートメーションツール「Hub Spot」、または日本オラクル社の「Eloqua(エロクア)」は、徹底的にユーザー志向のスタンスのもとで開発されており、広くオススメできるシステムです。もし、MAコンサルタントやシステム設計会社にアウトソーシングするなら、なぜそのシステムを選ぶのかしっかりとした理由を確認しておきましょう。大事なのは、企業の目標と目的に沿ったツールを選ぶことです。参考までに2015年度のMAツールの比較を下記にご紹介いたします。(MAツールはそれぞれ開発された背景が異なるため、同等に比較することが難しく、見方によってシェア状況が変化するのでご注意ください)次回はインバウンドマーケティングの考え方と具体的な進め方についてお話しいたします。

出典 :

出典 :http://www.marketingautomationinsider.com/marketing-automation-vendor-market-share/

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※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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