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レスポンス広告の極意 第6回:レスポンス広告の大原則・言い分けにブランディングを持ち出さない

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今日では、あらゆるコミュニケーションがクロスメディアであり、オムニチャネルであることを前提とするようになっています。広告においても個々の施策の成果だけでなく、それぞれの相乗効果や補完関係、累積効果などが注目されるようになり、これらは"コミュニケーションデザイン"という概念の中で説明されます。

そして特筆すべきは、これらを推し進めているのが、テクノロジーの進化であり、かつては困難であったり不可能であったさまざまな施策の成果が比較的容易に計測可能になり、しかもそれぞれを紐づけることができるようになったということです。

さて「売れるレスポンス広告」の"売れる"には、広告から直接発生する売上げだけでなく、その後の取引から得られる売上げも含まれます。これは企業にとっての関心や目的が、広告や広告に対する短期的で直接的な評価だけではなく、中長期的視点での評価や、リアル店舗も含む・・・売る仕組み全体での最適化(=売上総利益の最大化)にあるといったことを考えれば当然といえます。

しかし、費用対効果――何がレスポンスに影響し、何が関係ないのか――が日々、個々で別々に見えるということは、やはりレスポンス広告の最大の強みなので、例えそれが最終的な成果と言えないにしても、日々のデータを把握し、それらに速やかにかつ的確に対応する必要があるのは当然です。

レスポンス広告の正しい運用のためには「短期的で直接的な評価」と「中長期的で総合的な評価」の二つを併せ持つ必要があるわけです。

しかし今回は、前者「短期的で直接的な評価」についての説明をします。なぜなら、この領域について正しく理解しないまま、コミュニケーションデザインやブランディングの話(もちろんどちらも非常に重要なテーマではあるが)を持ち出してしまっては、いつまでたってもレスポンス広告の正体・・・どのようにしてレスポンスが発生したり、しなかったりするのか?という肝心なメカニズムの部分が見えてこないからです。

失敗レスポンス広告が生まれる理由?

それでは、良いレスポンス広告について理解するために、逆に”失敗レスポンス広告”が生まれる理由について考えてみましょう。

失敗理由1◆一般広告と混同している

レスポンス広告を制作している意識が不足しているか、実はまったくないため、アグレッシブなアプローチやベタなコピーは格好が悪い、説明的な表現はNGと考え、一般広告のノリで、つい”いつものカッコイイ広告”を作ってしまう。

失敗理由2◆製品やサービスの優位性を過信している

対象商品を否定的に見ないという職業的なさが(性)から、広告主からオリエンされた製品の優位性を鵜呑みにし、実際には存在しない商品力を前提にした広告を作ってしまう。

失敗理由3◆ターゲットが飢えていると勘違いしている

現代が商品で溢れた”モノあまり社会”であることを忘れ、ターゲットが商品やサービスを渇望し、飢えていると勘違いした広告を作ってしまう。

失敗理由4◆ターゲットは買いモノ気分でいると勘違いしている

単なる通行人に過ぎないターゲットに来店客と同じモチベーションやコミットメント・・・買いモノ気分を期待した広告を作ってしまう。

失敗理由5◆ターゲットの忍耐力や理解力に期待しすぎている

情報が多すぎ、難解であっても、ターゲットが忍耐強く広告を読み込んで理解してくれる。逆に情報が不足していても、ターゲットが自分の知識と想像力で補って理解してくれると勘違いして広告を作ってしまう。

上記は、すべて同じことを言っているように感じられるかもしれません。しかしあえてこれらを分解して考えることにより、失敗の可能性は確実に減ります。

レスポンス広告の4つの到達レベル?

レスポンス広告の制作側の勘違いについては前述のとおりですが、それではターゲット(生活者)側はどうなのでしょう?

生活者であるターゲットは一般広告とレスポンス広告とを区別して見ていたりはしません。しかし「来店客ではなく単なる通行人」ということを思い出せば、彼らの広告に対する関心が制作側の期待よりは遥かに低いことは、容易に想像できるはずです。これらを踏まえて、ターゲットが広告に接触した段階からレスポンスを決意するまでを、4つの広告到達レベルに分けて説明してみたいと思います。

到達レベル1◆ほとんどの広告は読み飛ばされる!(情報としては認知されていない)

レスポンス広告に限った話ではありませんが、生活者(ターゲット)は基本的に多忙で、短気で、わがまま、しかも怠惰なので、彼らにとって大部分の広告は通りすぎる風景であり、制作者が意図したような情報としては認知されていません。

到達レベル2◆最初の見極めはわずか0.1秒!

生活者が”風景”としてではなく、”情報”として広告を見るか否かを決めるのに要する時間は0.1秒・・・これはつまり直感による「粗選り」で、内容や価値を見極めるための合理的な試験ではないということです。したがって考えさせる広告、知性やセンスに訴えかける広告の多くは、この段階でふるい落されます・・・逆にこの「粗選り」段階を潜り抜けるために広告に求められるのは、広告の内容や価値よりも、むしろターゲットの直感に突き刺さる「あざとさ」の方です。

到達レベル3◆さらに待ち受ける二次試験も長くて10秒!

運よく「粗選り」を潜り抜けても、生活者が多忙で、短気で、わがまま、そして怠惰であることに変わりはないので、次の選抜試験でも長くて10秒の乱暴な斜め読みと勝手な解釈のふるいにかけられます。言い換えれば、この10秒で斜め読みができ、概略がある程度正しく伝わる広告に仕上げておくことができれば、二次試験の合格率は格段に上がります。

到達レベル4◆最終試験にたどり着き、本来の価値評価をしてもらえる確率は千分の一!

二次試験を通過すれば、もはや”広告接触”ではなく、店舗に引きずり込んだも同然。ターゲットはすでに通行人ではなく、来店客となっており、商品を手に取り細部の確認をしている状態です。レスポンス広告の場合は一般広告の場合と異なり、購買のために店舗に出向く必要がないので、すぐにダイレクトな注文が期待できます。ただしここまでたどり着くのは、広告接触者1,000人の内の1人か2人(実際にレスポンスするのはさらにその何分の一)という割合です。

上記の通り、広告においてレスポンスを獲得する上で、もっとも重要なのは、いかにしてターゲットを”レベル4”の段階まで連れてくるのか?ということになります。つまり、レベル1から3をどのように通過させるのかが肝なのですが、失敗レスポンス広告の多くは、肝心なレベル1から3を飛び越え、いきなりレベル4の段階を前提にした広告となっているのです。

ほとんどの広告が読み飛ばされ、目にも留められないと述べましたが、それで困るのは実はレスポンス広告だけです。一般広告の目的は、ブランド名や商品名の認知・知名促進、それに伴う良いイメージを伝えることまでだからです。印象的なクリエーティブさえ用意できれば、たとえ”広告の到達レベル1” ――持ち時間0.1秒の”風景” ――に過ぎなかったとしても、それだけで十分に目的を達成したことになります。

広告の評価も「見たか見なかったか」の認知率だけの場合が多いようですが、実際に店舗において似たような競合品と並売されている状況では、広告で見たことがあり、良いイメージが記憶されている製品とそうでない製品とでは、それだけで売上げに大きな差が生じるからです。

いつも一期一会の一発勝負

あなたがサプリメントのレスポンス広告を出稿するとしましょう。この広告はあなたにとって、いわば店舗のようなものです。しかし、あなたの店舗が実際の店舗と異なるのは、それがいつもそこにある堅牢な建物ではなく、言ってみれば露店のように頼りないものだということです。なぜなら今日、あなたの店舗(レスポンス広告)の前を通り過ぎた通行人が、明日あなたが販売しているサプリメントのことを思い出し、新聞を開いても、明日の新聞にあなたのサプリメントの広告は掲載されていないからです。もちろんあなたの広告は、今後も何度も掲載されるでしょう。しかし、ただの通行人に過ぎないターゲットは、いつ掲載されるかわからない次のあなたのサプリメントの広告の掲載を待ってくれたりはしないものです。

また、通行人の側からすると、似たようなサプリメントや広告はたくさんあり、必ずしもあなたの広告やサプリメントである必要はありません。あなたは自社の製品について、品質や原産国、原材料やその成分の違い、使用感などがまったく異なる!・・・と主張するかもしれませんが、実際にあなたの製品を試したこともないターゲットからすれば、それらの区別はつかないので、似たような他のサプリメントを選んでしまう可能性も大きいはずです。

その証拠に、あなたの会社に競合先のサプリメントが返品されてきたり、競合先の製品に関する問い合わせや相談、クレームの電話が入ったりすることがあるはずです。もちろん顧客であればそんなことはないでしょうが、相手が通行人であったりお試し段階のお客様であったりすれば、しばしば起こり得ることです。つまり、昨日他社の広告を見て買いそびれた通行人が、今日あなたの広告を見て注文し、明日はまたその逆の状況が発生しているという可能性は少なくないはずです。

「今でしょ!」この瞬間に捕まえられなければ次はない!という覚悟を持つ

競合先との差別化が確立できていない・・・前述のように場合、一般広告を専門とする広告会社、普通のマーケッターであれば、ここはブランド力の強化――"ブランド広告の出稿"――を提案するはずです。しかし、レスポンス広告を専門とする私たちが提案すべきは、「名前なんか覚えてもらえなくても構わないから、購買の検討を後回しにされない、今すぐ注文の取れる広告を作りましょう」という提案でなければなりません。

レスポンス広告を作る上での心構え…覚悟は、まずターゲットとの関係を”一期一会”と捉えること。今、目の前を通り過ぎようとしているお客様とは「この瞬間を逃したらもう二度と会えない、この瞬間に捕まえられなければもう次の機会はない!」という緊張感と覚悟を持つということです。

ダイレクトマーケティング、あるいはCRMにおける基本コンセプトは「一度のお客様を一生のお客様にする」ことですが、レスポンス広告が担っている使命は、まず”一期一会”から”一生のお客様”となる”一度目のお客様”を獲得することだからです。

次回は、具体的な事例として広告サンプル画像を用いて「広告そのものに対する集客を図る」をご説明します。

PROFILE

後藤 一喜(ゴトウ カズヨシ)

広告主、メディア、通販業、広告代理店等、さまざまな立場での実務経験と幅広い業種を担務した経験を持つ。㈱カタログハウス在職中は、商品開発や制作だけでなく、多様な通販実務を担当。その後、㈱電通ワンダーマン【現 電通ダイレクトソリューションズ】(企画推進部/クリエーティブ部・部長/執行役員)、㈱ユビキタス・コア(メディアマーケティング部長)、㈱電通イーマーケティングワン【現 電通デジタル】(ディレクター室・室長/クリエーティブ室・シニアマネージャー)を経て独立。現在は㈱B2B2Cにて、レスポンス周りのアドバイザーとして活躍中。

■ウェブサイトhttp://b2b2c.co.jp/

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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