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レスポンス広告の極意 第2回:レスポンス広告の役割①

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さまざまなクライアントのレスポンス広告に携わってきた後藤一喜氏による連載第2回目。今回と次回は、レスポンス広告とは何か? 一般広告との違いは?・・・についての整理とその説明になります。

レスポンス広告とは一体何なのか?

レスポンス広告、とくに通販広告は、広告ではなく“店舗”だと良く言われます。ターゲットに気付きを与えるのが広告、商品を購買する場が店舗と言う従来の仕分けだと、レスポンス広告はその両方の役割を担うため少し話がヤヤコシくなるのですが、ひと言で言うなら、私は実演販売員=“セールスパーソン”とするのが最適と考えています。なぜなら彼らは、購買動機を持たないターゲットにいきなり話しかけ、本人すら気づいていない潜在的購買欲望を炙り出し、炊きつけることで販売=レスポンスを実現させるからで、このような機能は普通の広告や店舗にはないからです。

それでは・・・実演販売員=”セールスパーソン”になったつもりで、ターゲット=”目の前を足早に通り過ぎようとしている単なる通行人”に対する、アプローチからクロージングまでについて考えてみましょう。

販売員→
「膝や関節の痛みでお困りの中高年の方?」
お客さま→
「もしかして私のこと?・・・やっぱり朝とかはねぇ・・・」
販売員→
「駅の階段とかって本当に嫌ですよね!」
お客さま→
「でも病気じゃない・・・加齢だから仕方ないんですよね・・・」
販売員→
「同年代の方はみなさんそんな風に仰います」
お客さま→
(無言で深くうなずく)
販売員→
「ところでグルコサミンってご存知ですか?」
お客さま→
「聞いたことある・・・軟骨成分がどうとかってやつでしょ?」
販売員→
「そうですか、よくご存知で・・・実は私、そのグルコサミンのおかげで最近調子イイんです! これなんですけどネ、グルコサミンだけじゃなくて、コンドロイチンとコラーゲンまで、それぞれ300㎎も入っているんですヨ!」
お客さま→
「色々入っていれば良いってもんじゃないし、本当に効くの?」
販売員→
「確かに評価や実感はお客さまによって・・・異なります。」
お客さま→
「ほら!やっぱり・・・当てにならないネ、試してみたいとは思うけど、高いんでしょ?」
販売員→
「一ヶ月分が2,900円ですから、一日当たり100円以下です!」
お客さま→
「100円たって、効かなきゃ安くないよ・・・」
販売員→
「それでは騙されたと思って、一ヶ月だけ試してみませんか? もし、一ヶ月試してご満足いただけなかったら、商品代金は全額返金いたします。だから安心してお試しください!」
お客さま→
「随分自信あるんだね・・・じゃあ一ヶ月試してみるけど、駄目だったら本当に返金してくれるんだね?」
販売員→
「もちろん喜んで返金いたします!」

もしこんな呼び掛けをしたら、目の前を足早に通り過ぎようとしている単なる通行人の内の何人が振り返ってくれるでしょうか?さらにこんな情報を加えたら、その内の何人が足を止めてくれるか?こんな説明は魅力的と受けとめられるか、共感は得られるか?あるいは逆に何が疑われ、何が彼らの行動をはばむのか?どんな情報が彼らを安心させ、行動を促すのか? 最後の一押しは何(安心・保証・オマケ?)等々・・・販売員である自分とお客さまとを交互に演じながら、売れるまでの対話=シナリオを想像し、どうしたら最終的にお客さまの「Yes」を引き出すことができるのか?どうしたら押し売りでなく、お客さまが買うべくして買うよう導けるか?のシナリオを練り上げます。そしてこのような”仮想対話”を、私は売るためのシナリオやコピー開発に活かしてきました。

さて、対話は、インタラクティブなコミュニケーションですが、私達が広告で用いるメディアは、基本的にワンウェイ・メディアなので、合理的に考えれば、対話は成立しないはずです。しかしターゲットは生身の人間なので、買い手に対するインサイトを総動員させた優れたシナリオ=”仮想対話”を用意できれば、結果的にそれをリアルな対話として成立させ、レスポンス=購買を引き出すことが可能で、逆にもしそうでなければ、テレビ通販の成功には説明がつかないことになります。

レスポンス広告におけるターゲットインサイト

いま、インサイトという言葉を用いましたが、この言葉は、この連載におけるキーワードなので、少し説明を加えます。“ターゲットインサイト”は、一般的には「ターゲットに対する洞察や見識」と訳され、制作現場では「そのアプローチは、どんなターゲットインサイトに基づいているのか?」といったように用いられます。

さて、ターゲットに伝わりやすいメッセージが求められるのは、一般広告とレスポンス広告の別を問いませんが、製品やブランドに対する良いイメージを喚起させるだけで済む一般広告と異なり、レスポンス広告の場合は、レスポンスを取り付けるまでの双方向で連続的なコミュニケーションの一つ一つについて“ターゲットインサイト”が求められます。つまり、レスポンス広告におけるターゲットインサイトは、ロールプレイングゲームにおけるキャラクターの行動ルールのように、インタラクティブ化=シナリオ化に対応したモノでなければなりません。そこで再び話は”仮想対話”の話に戻りますが、ひとつ付け加えておかなければならないのは、それが読者の想像するような特定のペルソナとの”一対一の仮想対話”ではなく、たとえば「新橋駅前サラリーマン100人インタビュー」とか「接客100人ロールプレイングゲーム」のような”一対多との仮想対話”だということです。

また、なぜ実際の調査(デプスインタビュー)でなく”仮想対話”なのかというと、顕在化した課題に対する調査ではなく、課題自体が対話の中で変化してしまう双方向で連続的なコミュニケーションについて実際の調査を行うことが現実的には困難だからにほかなりません。また、なぜ100人なのかと言うのも、対話の中で変化する課題やそれに対する反応を捉えるためには、対話に一定程度の幅が求められるからで、この主観的であやふやな作業(頼れるのは断片的な情報とそれを咀嚼する自分の主観だけ)の精度を少しでも高めたいと考えるからになります。ポイントはいかに多くの“リアルな他人”をイメージし、いかに彼らの“リアルな反応や声”を想像できるのか・・・という点に尽きます。とは言え、このような方法が科学的ではないこと、独断や偏見に陥りかねないことは承知しています。そこで、これらのターゲットインサイトや仮説から導き出した広告を掲載するに当っては、いきなり大規模な出稿はせず、まずは小規模な掲載を経て、成果の確認と検証を踏まえ、あるいはファインチューニングを施しながら大きな展開へと繋げて行きます。

情報量が多く煩雑に見えるのは広告ではなく販売行為だから

一般広告がターゲットに求める反応はシンプルです。たとえば、「高級自動車」の場合→「格好いいなぁ・・・次に選ぶならこの車だ!」。「高級マンション」なら→「もし住むならコレ!」と感じさせ、それを記憶させれば成功です。一般広告の場合、購買タイミングや場所は、広告を見たその時やその場所でなく、一定程度の時間が経過した後で、異なる場所となります。そのために、一般広告では必然的にいったんは記憶(Memory)してもらう必要が生じます。しかし、記憶させるとなると、大量で複雑な情報を伝えるのはかえって不利。それゆえに一般広告の場合、最も重要なUSP(Unique Selling Proposition)に絞り込み、そのイメージを強く印象付けるキレの良い広告を作ります。テレビ広告(一般広告)の場合では、15秒に凝縮させ、より多くの回数を放映し、リーチできるターゲット人数を増やすわけです。リーチできるターゲット人数を増やすことで、店舗での売上げが増えることが経験的に分っているからです。

ところがレスポンス広告の場合は、広告に接触した正にそのタイミング、その場でレスポンス(購買)してもらわなければならないので、必要な情報はすべて伝えなければなりません。当然その情報量は一般広告の場合とは比較にならないほど増えるため15秒どころか60秒にも収まりません。そこで30分のインフォマーシャル(通販広告)を制作し、たとえば1回だけ放映します。放映時間30分のインフォマーシャルと15秒の一般広告120回分(30分は15秒広告120回に相当します)は同じ30分ですが接触人数は単純計算で1/120以下に減る計算になります。それでも、15秒の通販広告を120回放映するより、30分のインフォマーシャルを1回放映した方が実際のレスポンス(売上)を増えることが経験的に分っているからです。

レスポンス広告は、その名称の中に “広告”という二文字を含んでいます。また、媒体のスペースを埋めるという点や、そのルックスにおいては他の一般広告と同じ“広告”であるようにも見えます。しかし、前述の”仮想対話”の説明でお分かりいただけたように、その中身は広告ではなく、販売行為そのものです。そして、このことをご理解いただければ、これまであなたが納得できず、不思議に思っていたレスポンス広告に対する疑問や謎のほとんどは解消されるはずです。

次回はダイレクトマーケティングにおけるプロセス管理の考え方、とダイレクトマーケティングにおけるレスポンス広告の役割等、についてご説明したいと思います。

PROFILE

後藤 一喜(ゴトウ カズヨシ)

広告主、メディア、通販業、広告代理店等、さまざまな立場での実務経験と幅広い業種を担務した経験を持つ。㈱カタログハウス在職中は、商品開発や制作だけでなく、多様な通販実務を担当。その後、㈱電通ワンダーマン【現 電通ダイレクトソリューションズ】(企画推進部/クリエーティブ部・部長/執行役員)、㈱ユビキタス・コア(メディアマーケティング部長)、㈱電通イーマーケティングワン【現 電通デジタル】(ディレクター室・室長/クリエーティブ室・シニアマネージャー)を経て独立。現在は㈱B2B2Cにて、レスポンス周りのアドバイザーとして活躍中。

■ウェブサイトhttp://b2b2c.co.jp/

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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