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通販/ダイレクト

レスポンス要素のバランスが命運を分ける!? 陥りがちな「売りが強い」問題 VS レスポンス至上主義~通販事業のブランディング戦略③

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.34〉

通販事業にとってのブランディング

今回も引き続き、ブランディングをテーマに説明していきます。ブランディングは、オリジナル商品で差別化戦略を重視する事業社にとって、レスポンスプロモーションと同様に重要なマーケティング要素と言えます。レスポンスとブランディングを分けて考えるのは有効であると前回説明しましたが、「商品を売る=商品を買ってもらう」ということを考えると、いわゆる通販事業社のブランディングに区分されるプロモーションも商品を売ることが目的です。しかし、「短期的には評価しにくい」「費用対効果が測定しにくい」等の難しさがあるので、レスポンスとブランディングを便宜的に分けているだけです。つまり、どちらも商売の戦術というわけです。

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レスポンスとブランディングの区別をどうとらえるか?

単語や文章をレスポンスとブランディングに区分することはできません。前後の文脈によってニュアンスは変わりますし、そもそもレスポンスとブランディングを区分する意味は予算管理と目的設定をブレさせないためであり、クリエーティブやコミュニケーションレベルで分けることはナンセンスだからです。しかし、具体的にイメージしてもらうために、あえてレスポンス寄りとブランディング寄りの表現を例示してみましょう。

「お肌が■■」「○○と△△を配合」「今だけ半額」というような商品に近い情報で購買衝動性を喚起するようなものはレスポンス要素が強いとされ、「創業○○年」「自社で研究開発」「お客さまを家族と思って」というような直接の購入動機になりにくいものはブランディング寄りと言われます。電気でたとえると、前者は電圧を高めるプッシュ的な特性で、後者は電気が流れやすくするために抵抗を下げるようなイメージです。実際のクリエーティブにはどちらも組み込まれることが一般的ですが、情報量の少ない、たとえば低段数の新聞広告等ではレスポンス要素が強い情報が多くなりがちで、「売りが強い」と言われることもあります。全体的な傾向として、新規顧客獲得販促はレスポンス要素が強くなり、リピート促進販促ではレスポンス以外の情報も組み込まれていくようになります。

前述したように、レスポンス要素が強い広告は、「売りが強い」としてよく思わない事業社も少なくありません。実は、このレスポンス要素を排除しがちな「売りが強い」問題は、意外に多くの企業に散見されるので、事業社内はもちろん、事業社とつき合う外部の協力会社も注意が必要です。この問題について、引き続き説明していきましょう。

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「売りが強い」問題とは

「商品を売る=買ってもらう」ことの理想形は、事業社が何もしなくてもお客さまが勝手に購入し続けてくれる状態にすることです。これは究極の理想と言えますが、実はブランディングをきちんと考えることの大きな目的はこれなのではないでしょうか。買ってもらう物は「商品」ですが、それに関連するさまざまな情報を発信することで多角的に知ってもらい、共感してもらいます。そうすることで商品以外にも他社との多くの差別化ポイントをつくり、顧客との関係性を高めていくのです。

そして、オリジナル商品を展開する事業社では、商品以外の情報、購買衝動を喚起する以外の企業情報や顧客に対するポリシー、製造設備、研究開発等を重要視します。これ自体は問題ではありません。むしろ、きちんとブランディングをしていくうえでは正しいと言える考え方です。では、何に問題化する原因があるのでしょうか。

その原因は、業務を推進する現場スタッフよりも、管理者や役職が上位の方に存在します。もちろん、購買衝動を煽るような情報だけでなく、商品に対する思いや事業社のアイデンティティなどの情報を優先発信したい気持ちはわかります。しかし、たとえば初対面の方に、いきなり自分の家系の脈々と続く先祖代々の話をしても伝わりません。

同様に、通販事業のプロモーションもお客さまの状態や広告の種類に応じて最適化しなければならないので、とくに新規顧客獲得広告では、ぐっと我慢して購買衝動を喚起する要素を優先し、まずはこちらを振り向いて商品や資料を手に取ってもらう。そして距離が縮まるに伴って、徐々に企業や商品開発の背景、スタッフの人肌感、顧客に対する思い等を伝えていくというのは、一般的な人対人のコミュニケーションと同じだと思います。

しかし、直接業務に携わっていない方が顧客に発信する断片的な情報を見ると、どうしても「売りが強い=下品=会社のことを理解していない」という考えに至ってしまうこともあるようです。これは、事業社内ではもちろんですが、事業社と外部の協力会社間でも発生していることです。理想論しか頭になく、具体的なクリエーティブイメージや企画の方向性がないまま協力会社に提案を依頼し、何度も出口の見えない提案を繰り返した結果、最終的には見送りになってしまう、というような残念な事例は、よく目にも耳にもします。

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行き過ぎると困る「レスポンス至上主義」

予算管理と目標設定を明確にするために、レスポンスとブランディングを区分する考え方を説明してきました。ですが、これも行き過ぎるとよくないことになってしまいます。ここで言う「行き過ぎ」とは、「レスポンス至上主義になってしまう」という意味です。予算とプロモーションの結果の管理ができるようになっても、リーダーがきちんと教育や方向づけをしなければ、育成段階のスタッフは偏ったレスポンス至上傾向になりやすいように思います。では、レスポンス至上主義が行き過ぎると、どのようになるのでしょうか。

たとえば、新規顧客獲得販促で獲得した見込み客に送付するお試しセットに挨拶状(ご挨拶の文章)は必要ないのではないか、といった意見を当たり前のように発するようになります。確かに、挨拶状があることで直接的なレスポンスに寄与できるかどうかは測定が難しく、測定したとしても短期的な効果はもちろん、長期的にも優位性は確認できないと思います。しかし、お試しセットはお客さまと初めて対面するツールです。そこでご挨拶や自己紹介をしないというのは、対人的な面から考えると大きくずれていると思います。BtoC事業の経験が浅く、KPIだけ見てプロモーションをルーティン作業的こなしていると、このような考えに陥ってしまうのです。これは、個人の資質というよりも組織の育成方法に原因があるので、注意が必要だと思います。

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通販事業は、KPIでコントロールするシステマチックなビジネスモデルですが、実際には人対人、つまり販売者とお客さまがダイレクトにコミュニケーションをとりあう、俗人的でアナログ要素が強い側面もあります。お客さまとのやり取りが、さまざまな媒体(DM、電話、インターネット等)を介するので誤解しやすいのですが、すべてがエンドユーザーとの直接的なコミュニケーションであることを念頭に置いておかなければなりません。そこにはKPIでは計れない、礼儀等の作法や好き嫌い、感動といった留意点が存在します。KPI等の仕組みに乗らない、お客さまとのコミュニケーションを日々の業務に反映できるスタッフの育成が、ブランディングには必要不可欠なのです。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネスプロデュース室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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