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任せきりになってない? 事業責任者だからこそやっておきたい、現場の「注意ポイント&チェックポイント」~黒字化以降の戦略と課題③

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.38〉

責任者が注意すべき、新規顧客獲得の現場リスク

これまで数回に分けて、黒字化を達成した付近の新規顧客獲得に対する留意点を説明してきました。
今回は前回までの内容を踏まえ、現場担当者よりも事業責任者に読んでもらいたい内容に寄せてまとめました。通販事業に限らず、現場では現場の課題認識がありますが、かえって当事者では気づきにくいことも多くあり、それらの課題は現場の中から提起して改善していくよりも、少し俯瞰の視点がある方のほうが改善活動を取りやすいからです。

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事業責任者が注意しておきたい「現場の3ポイント」

①現場がルーチン作業で回っていないか?

これは何度も説明してきたことですが、通販事業は仕組み化しやすい反面、業務が作業的になりやすいという側面があります。もちろん、日々の業務の中でルーチン化し、経験の少ないスタッフでも対応できる業務をつくっておくことは重要でありメリットでもあるのですが、そもそも改善を重ねていく販促においては、「いかに知恵を出し続けるか」ということが実績向上に必要な要素と言えます。通販事業はBtoC、つまりエンドユーザーと直接関係性をつくっていくことが基本になることが多いので、オペレーションは規格化・単純作業化しても、考えることを阻害しないようにする仕組みと工夫が必要なのです。

これは簡単なようで意外と難しく、作業を回しているだけなのに新規顧客獲得というスキルが身についたと勘違いしている方は多いので、リーダーや責任者は常に注意が必要です。そして、作業化しすぎない仕組みづくりと運用は、現場担当者の自助努力に任せるのではなく、事業責任者とチームリーダーがマネジメントをしっかりと行い、組織の活性化と人材育成を重要課題として捉えて、それらに効果的な会議やOJTに力をいれなければなりません。

そしてもうひとつは、協力会社に任せきりにならないこと。自分たちで得にくい情報収集を依頼したり、負担の分散として外部の方の協力を頼ることはもちろんよいのですが、肝心の「考えること」については、事業社のスタッフもしっかりと捉えておくべきです。作業状況と数値のみを確認するリーダー、協力会社に企画提案を任せきりになり自分たちで「やりたいこと」をつくれないスタッフたち。このような組織は、作業化しやすい傾向があるように思います。また、黒字化を達成したこのあたりから人材育成をしっかりとやっておかなければ後々痛い目にあいかねないので、人材育成・組織力向上という観点でも注意してください。

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②LTV強化策を計画的に運用しているか?

事業の成長を目指してきちんと新規顧客獲得業務をPDCAで回していれば、あるタイミングでCPOが悪化します。通販事業の新規顧客獲得PDCAは、媒体やビークルを選定しながら、一定のCPO(CPR)が達成できる枠とそうでない枠を選定するのが一般的で、そのような形で選定した「よい枠」は継続して出稿していくと必ず実績が悪化してしまうからです。CPO(CPR)の頭打ちとも言える現象です。もちろん例外的なケースはあり、またそうなることを抑止する事業計画や対策もありますが、キー商材で新規顧客獲得を続けていけばそのようになってくるのが原理原則だと考えておいた方がよいでしょう。

そして、頭打ちになり全体的な数値が悪化曲線を描き始めてからの対策では遅いのです。そうなってしまったら結果が早く出る効果的な対策はなかなかないので、そうなる前にLTVの強化策を立ち上げておくことが大切です。なぜなら、LTV対策の効果を測定するには時間がかかるからです。

これについては、「結果は実施後に評価できる」という意見もあるかと思いますが、そもそもLTVはその言葉の通りスポット的な販促の効果ではなく、顧客の購買動向を一定期間で測定するものです。ここであげているLTV強化は、前述の「新規顧客獲得」と連動させる対策としていますので、最低でもその事業年度での改善を期待するものであるべきだと考えます。そうなると、単純に出稿の回数を増やすとかオファー(特典)を強化するといった小手先の対策だけでは、大きな落とし穴に落ちるリスクがあります。

たとえば、強力なまとめ買いキャンペーンを行い、受注率も購入単価も向上したとします。しかし、展開アイテムが少数で利用サイクルがある程度決まっているケースだと、次回の購入サイクルや購入単価がマイナスになるという、ゼロサムのような結果になるケースもあります。つまり、単発的なキャンペーン評価とは別に、顧客の事業年度内のLTV改善のアクションの評価には時間がかかるので、しっかりと計画を立てて早めに着手しておかなければならないのです。

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③顧客主義が根づいているか?

作業化させず、思考力の強いスタッフと組織づくりの源泉になるのが「顧客主義」です。CS=顧客満足度という言葉は一般的となり、とくにBtoC事業を行っている多くの事業社は重要課題として設定しています。顧客主義と認識していながら、その実態が伴っていないことが大きなリスクなのです。

では、なぜ顧客主義が必要なのか。それはすごくシンプルで、「商品を買ってくれる人のことを考える」ことが売上や事業の成長に結びつくというのは当たり前だからです。そしてもうひとつ。CSの前にES=従業員満足度は事業が効果的に成長していくために欠かせませんが、顧客主義はこのESにも大きく連動し貢献します。事業を行う根底として、顧客のニーズに応えることは欠かせない要素だからです。

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最も重要で、最も難しい「顧客主義」という要素

今回説明した内容は、現場を運営する担当者では気づきにくいことが多いものです。なので、もう少し上のレイヤーで俯瞰視点でマネジメントする方の現場チェックや気づきの一助にと考え、3つの留意点をあげて説明しました。
なかでも、③の「顧客主義」は精神論的な捉えられ方をされやすいのですが、BtoC事業にとっては事業成長の要、基盤とも言える要素であることをとくに注意してください。当事者たちが無自覚になりやすいことに加え、現場分析も難易度が高い部類に属します。
参考までに、「現場のNGチェックポイント」をいくつかあげてみました。

・会議の中で、「お客さまが」という発言が少ない。
・キャンペーン会議は、「出稿の回数、セグメント条件、オファー内容」が主になっている。
・提案に対してリスクしかピックアップせず、リスクを上回る「やりたいこと」がない。
・社内の新規顧客獲得の会議で、発言のほとんどが数値関連である。
・実際のお客さまの声(=いい話)を知らない。
・最近発生した変わったクレームを知らない。
・一番購入してくれているお客さまが、年間いくら購入しているか知らない。
・「お客さま」ではなく、「客、活性客、休眠客」などの属性で表現することが多い。

黒字化等の転機にさしかかっている事業社の事業責任者は、これらのポイントを元に、自分たちの現場の組織や行動を一度分析・評価してみてはいかがでしょうか。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネスプロデュース室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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