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出稿の「いきすぎた効率化」は逆効果!~評価指標『CPO』との正しいつき合い方~

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.15〉
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出稿の評価指標『CPO』

前回の記事では、新規顧客獲得の主たる手段である「出稿」を説明しましたが、今回は、この出稿の評価指標である『CPO』について、改めて触れてみたいと思います。

繰り返しになりますが、CPO(Cost Per Order)は、新規顧客1人を獲得するのに必要な費用のことで、類似したものにCPA(Cost Per Acquisition または Action)やCPR(Cost Per Response)等があります。お試しセットの購入や資料請求等、レスポンスの種類の違いにより、それ以降のリピートに対する期待度に差が生じるため、指標を細分化してデータ分析、管理するのが一般的です。

実際には、言葉の厳密な意味の違いというよりも、各企業での販促のやり方や、企業文化等によって使い分けていたりしますので、同じ意味合いでも異なる指標を使っていたり、逆に同じ指標でも異なる意味で使っていることもあるので、注意が必要です。ここでは、『CPO=媒体出稿に対するレスポンス=新規顧客獲得』と定義し、それを前提に説明します。

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CPOの構成要素と新規顧客獲得時の考え方

上記の通り、CPOは媒体に出稿することで新規顧客を獲得し、その効率を評価するための指標ですが、これは、どのような要素で構成されていて、新規顧客獲得販促を行う際に、どのように考えればよいのでしょうか。

CPOは「新規顧客獲得にかかった費用/新規顧客獲得人数」で算出されますが、「新規顧客獲得にかかった費用」は媒体価格、クリエーティブの制作費、DMやアウトバウンド、インバウンド等、複数の費用で構成されます。ここでは、わかりやすくするために「費用=出稿費用(媒体費)」として説明していきます。

媒体費用を事業社視点で考えると、「安ければ安い方がよい」となります。100,000円で出稿して購入者が10人ではCPO=10,000円ですが、媒体費用が50,000円であればCPO=5,000円となり、CPOは2倍効率的であったという評価になります。レスポンスに関わるものは、クリエーティブの内容に集約されますが、これを大きく2つに分けると、1つめはクリエーティブの方向性です。つまり、何を訴求ポイントとし、それをどのようなキャッチコピーやメインビジュアルで表現するか、ということです。2つめは売り方です。たとえば、事業社側としては、商品のよさだけでお客さまに手に取っていただきたいのが本音ですが、使用したことがない商品を手にとっていただくためには、商品のよさを伝えるだけでは不安を払拭しきれない、ということもあり、商品の定価販売ではなく、初回無料や安価なお試しセットで、いったん見込み客としてレスポンスしてもらった後に引き上げる、といった2ステップの手法もあります。

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このクリエーティブと媒体価格の関係性を電流に例えると、クリエーティブは電圧で、媒体費は抵抗のようなものでしょうか。媒体価格を下げる=抵抗値が低くなることで電気が流れやすくなり、クリエーティブの精度を高める=電圧が高まることで電気が流れやすくなる、というようなイメージです。

つまり、効率的に電流を流す=「CPOを改善する」ということは、電圧を上げる=「クリエーティブの精度を高める」と共に、抵抗値を下げる=「媒体費を抑える」という2種類のアプローチ方法があり、これらをうまく組み合わせることが、効果を高めるために必要なのです。しかし事業社の現場を見ると、いくつかの問題点を目にすることが多くあります。

そのひとつは、効率至上主義です。そもそも、CPOとは媒体効率を判断するための指標なので、その指標の改善=効率化であることは間違いではないのですが、事業社の新規顧客獲得は、効率値のみで捉えるべきではありません。新規顧客を獲得し、リピートによって利益拡大していくということは、効率的に顧客を獲得することに加えて、その人数・売上額・利益額といったLTVの概念も含めて考える必要があるからです。

新聞媒体への出稿を例にしてみましょう。最初はさまざまな新聞に出稿していきますが、CPOの悪い媒体は出稿候補から外れていきます。そうすると、一見CPOは改善されますが、出稿できる媒体は減っていき、それに伴って新規顧客獲得人数も減ります。つまり、新規顧客獲得施策とは、そもそもその方たちの後のリピートによる利益を見込んでの投資的側面が強い販促なので、一時的にCPOが改善されたとしても、元になる人数が減ると言うことは、先々の利益額の減少を引き起こすことになります。

当たり前のような話ですし、「では、KPIに獲得人数を加えて管理すればよいのでは?」と思うでしょう。当然、事業社のスタッフもそのように思って獲得人数の管理をしているのですが、それでもこのような現象が生じるのがCPO管理の怖い点だと思います。実際にCPOと獲得人数をKPIとして管理していても、目標CPOを下回った媒体に対しての対処を適切にできている企業は非常に少ないように感じます。一時的な改善だけを優先していては、中長期的な利益に対してマイナスの影響を与えかねません。

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CPO効率化の罠2

もうひとつは、人材と実運用についての効率化問題です。CPOはとてもシンプルな指標なので、理解すること自体は難しくありません。そして、誤解を恐れずに言えばルーチン作業的な側面があり、小学校算数レベルの計算スキルと少しの慣れがあれば、出稿業務に関して最低限の運用はできます。

ですが、それはあくまでも最低限のレベルに留まり、CPOと本気で向き合うためには、媒体価格とクリエーティブの両側面で取り組まなければなりません。事業者の方が本気で取り組まなければ、外部スタッフの協力体制も受けられず、結果として一番大切なスタッフのスキルアップもできなくなってしまうのです。
参考記事:通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座〈vol.11〉

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新規顧客獲得販促への効果的な取り組みとは?

通販各社の露出が増加傾向にある昨今では、単純な媒体費交渉だけでは事業社が捉えるCPO課題は解決しないのではないでしょうか。媒体価格交渉やクリエーティブ制作は、あくまでも手段を具体化したものです。これらをよい形で作っていくのは、主体である事業社と専門知識を有する協力会社との友好関係が不可欠でしょう。「媒体費を抑える」「クリエーティブの精度を高める」という質の異なる2つの方法を効果的に運用していくことが、多くの事業社が抱える課題ナンバー1である「新規顧客獲得課題を解決する方法」だと思います。

 

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

コミュニケーションプランニングセンター

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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