エリアシ

通販/ダイレクト

外注=「丸投げ」にあらず!社内の充実が外注先の充実に~機能別に学ぶ、取引先との連携強化ポイント~

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.22〉

失敗実例で学んできた、スキルと方向づけの度合いと役割

今回も「黒字化達成までの注意点」というテーマで、前回前々回から続く内容になります。注意点として挙げた「①スタッフの育成・スキル向上」「②組織体制の整備・強化」「③取引先の充実」の、最後の「③」を説明していきたいと思います。

過去2回にわたり説明してきたA社・B社の事例はどちらも失敗例であり、注意点の①と②の両方及第点に達していませんでした。「及第点」という表現をしたのは、正解か不正解かという二元論ではなく、度合いがあるという意味を含めているからです。

つまり、プロフェッショナルのような非常に高いレベルが必ずしも必要ではないものの(もちろんあった方がよいですが)、「その状況にあったスキルを身につけているか」、そして「今後に発展させられる方向づけができているかどうか」という見方をしてください。これは主に、業務全体を管轄する現場スタッフの上司や組織の役割となります。

image01

3つの注意点がとくに黒字化までに重要なのは?

今回説明する「③取引先の充実」は、①②とは少し性質が異なります。①②は社内のことであり、③は社外であるということが一番大きな差です。その企業の状況にもよりますが、重要度をつけるとすれば①>②>③になるのはないでしょうか。①がなければ②③をいくら充実させても事業を発展させていくことは難しいです。まれに、①が弱くても③が功を奏して一時的に売り上げを作ることができた例はありますが、あまり長続きしません。ひとつひとつが独立しているのではなく、密接に関連しているのです。

そして、この3点は黒字化後も重要ポイントであることは変わりません。しかし、ことに黒字化までのフェーズでは、ここの取り組み度合いによってせっかく形作った事業が崩れる、あるいは、その後の成長に対して大きなマイナス影響を及ぼす危険性があるので、とくに注意をしておいたほうがよいでしょう。

image02

状況によってさまざまな「取引先」が存在している

通販事業にとって「取引先」は、外注(アウトソーシング)するか社内対応するかでさまざまな形が存在します。今回は、売上をつくるプロモーションに直結する「出稿」「制作」「テレマーケティング」の外注について述べていきます。これらは通販事業を行っていくうえで欠かせない機能なので、自社内で対応するという選択肢もありますが、それが必ずしもベターであるとは言えません。とくに黒字化までは内部コストはなるべく抑えたほうがよいケースが多いので、対応できる人材を確保することも難しいことから、外注で効率的に進めることも視野に入れておくべきかと思います。

これらの3機能に関して、あえて重要度をつけるとすれば、制作>テレマーケティング>出稿の順となります。この位置づけは、「質を高めていくのに時間がかかる」ことと「社内に経験として蓄積しスキルアップしていかなければならない」という2つの観点を基準にしています。

image03

制作とテレマーケティングについて:お客さまとの接点となる機能

通販事業では、「制作」はとても広い範囲で活用されます。たとえば、新規顧客獲得のための新聞クリエイティブやテレビインフォマーシャル、LTV向上のためのキャンペーンや同梱ツール、顧客との関係性醸成(CRM)のための情報発信やQ&A等、多岐にわたります。制作物とは、企業からのメッセージを文字などで表現して、企業人格を伝えるとともに商品に対する安心や期待を醸成するツールなのです。

つまり、制作物の表現により、お客さまの中に企業イメージが形作られていくのです。BtoCの経験が少ない企業は制作の経験も少ない傾向にありますが、「エンドユーザーとの直接のコミュニケーションは、事業の成否を分かつ」くらいに考えておいたほうがよいでしょう。そして、テレマーケティングも「制作物」同様、お客さまとの接点となる機能です。そのように考えると、これらが非常に重要であることは言わずもがななのですが、単なる業務として「外注する案件」ととらえると、発注先に丸投げしてしまうことは少なくありません。

発注側は、「発注先は《制作・テレマーケティングのプロ》なのでお任せしたらよいものを作ってくれる、という前提で考えますが、制作会社はあくまでもきちんとした情報や方向性があったうえで《それらをまとめて仕上げるプロ》なので、実は制作物の質は発注側のオリエンに大きく依存するのです。しかも、リピート性を重視した通販ビジネスであれば、オリジナル商材を扱うことが多いと思います。そうなると、「独自性=差別化」がビジネスの重要要件のひとつになるので、なおのこと他にはない独自情報を自分たちの言葉で伝えなければ、他社より優れた制作物を作ることはできません。

image04

出稿について:テクニカルな要素が大きい機能

出稿の多くは広告会社経由で行われるので、取引先とは「通販事業社⇔広告会社⇔媒体社」という関係になります。出稿はさまざまなテクニカルな要素があるため、実施するのであれば黒字化してある程度の事業規模を形成し、十分なスキルを備えたスタッフが社内に揃った段階でなければ難しいのではないでしょうか。出稿は、前述した制作やテレマーケティングに比べ、媒体属性や他社情報、コスト効率などの客観的なデータも必要になるからです。

現在、マス媒体には多くの広告があふれており、各社ごとに出稿の判断基準が必要になります。そのような中、媒体の価格交渉はレスポンス効率(CPO)に直結するので効果的ではありますが、短期的で過度な価格交渉しか行わない企業は良枠の確保につながらず、結果的に事業拡大の妨げになりかねません。出稿は継続的に行われていくので、中期的にみて判断することが、継続的な事業拡大への近道だと思います。

image05

取引先とともに、ノウハウの蓄積とスキルアップを!

以上、「出稿」「制作」「テレマーケティング」の3つを取り上げて、取引先への外注のポイントについて説明してきました。重要なことですが、「専門性が強い業務なので外注で対応する」という選択は、とくに黒字化までの社内リソースが少ない状態では最適解のひとつだと思います。しかしその反面、同業他社との差別化が事業戦略の中核となる場合は、外部で対応するにしても業務の担当者が主体者意識をもってしっかりと取引先と連携しなければ、今後必要となるスキルを得ることができません。

また、事業の根幹をなす顧客とのコミュニケーションの質向上には時間がかかることを頭に入れておかねばなりません。自分たちだけでなく、外部スタッフの方々とも一緒に理解を深めながら経験とスキルを向上させていくというようにとらえると、意識レベルの共有もできて取引先との関係性が充実し、連携の強化につながるのではないでしょうか。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

コミュニケーションプランニングセンター

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

[ 関連記事 ]

入門書 通信販売事業の成功に向けて ダウンロードはこちらから

月刊

電通西日本のメールマガジン
セミナー情報や広告トレンドを配信!!メールサンプル

INTERVIEW

記事内容や電通西日本の事業内容にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ