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通販/ダイレクト

定期?非定期? リピート購入してもらうには、顧客にあわせたアプローチ法で!

~通販事業における「リピート販促」の重要性~
通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.16〉

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通販事業における「リピート販促」について

通販事業の売り上げをつくる両輪は、これまでも触れてきましたように、『新規顧客獲得(CPO)』と『リピート促進(LTV)』になります。新規顧客獲得を投資的役割だとすれば、リピート促進は利益創出という役割を担っています。
この2つのバランスが悪ければ、効果的な事業展開を大きく阻害することにつながり、新規顧客獲得に偏れば収益性が、リピートに偏れば事業成長のスピードが低下します。

とくに、健康食品や化粧品の通販でよく見られる、類似商品に比べてオリジナル商材で優位性・差別化戦略を取る企業、つまり価格や利便性だけでなく、商品や企業に対して顧客のファン化を促進するビジネスモデルにおいては、『新規顧客獲得』と『リピート促進』のバランスを取ることは非常に重要です。

ビジネスモデルのベースが、『新規顧客獲得』と『リピート促進』の2つという構造はシンプルですが、この2つのバランスを取りながら日々のプロモーションを回していくためには、事業展開前の事前準備(媒体戦略とリピート施策の設計)と指針となる計画の策定、そしてある程度の経験が必要となるので、難易度は意外に高いと言えます。

通販企業の重要課題といえば、最初の新規顧客獲得が重要視されがちですが、そもそも新規顧客獲得とリピート促進の重要度は、比較するようなものではありません。たとえるなら、健康的な日常を送るために必要な、食事と睡眠のような関係で、どちらかに過不足が生じると全体に影響を与えます。注意喚起したいのは、「媒体に出稿し、新規顧客を獲得すれば、自動的にリピートによって売り上げと事業の成長をもたらしてくれる」と思わないでほしい、ということです。至極当たり前のことを説明していますが、通販企業の立ち上げにいあわせると、リピート施策が整っていないのに、安易に媒体出稿をしてしまう企業も見受けられます。今回はそのリピート施策について、構造や概要、戦略の方向性等を説明していきたいと思います。

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リピート戦略の落とし穴

前述しましたが、「初回に商品を購入したお客さまは好意的なので、積極的にリピートをする」と思うのは危険です。とくに、オリジナル商品を展開する企業は、自社商品に対して自信があるからか、「よい商品だから継続購入してくれる」という期待を無意識に持ってしまいがちです。しかし、過信は禁物です。

いくらよい商品でも、商品の効果等の期待感やメリット、安心していただけるためのさまざまな情報発信をして、継続使用の促進を行う必要があります。そして、商品の購入というものは、単に対価を払って品物を入手するという機械的な側面のみではなく、「楽しんでいただく」という側面も多分にあるので、購入促進目的だけでないさまざまなコンテンツやプレゼント等を付与するキャンペーンの必要性も高いのです。

せっかく費用をかけて獲得した顧客に対して、しっかりとしたコミュニケーションをとりながら、リピートしていただける仕組みをつくらなければ、効果的な事業成長は望めません。オリジナルの健康食品や化粧品商材で通販を行う企業の多くは、定期購入制度をリピートの主軸にします。定期購入制度とは、その言葉の通り、お客さまに定期的に購入していただく制度ですが、この制度に加入するかしないかでLTVに大きな差が生じるので、顧客のリピートには単に商品力のみでなく、購入の仕組みや情報提供等も重要であると言えます。

通販を展開する企業は、この定期購入制度の重要性を理解しているので、さまざまな手法を講じてコストをかけ、定期購入制度への加入を促進します。しかし、いくら定期購入制度への加入を促進しても、すべての方が加入するとは限りません。定期購入制度に加入しないお客さまには、リピート購入に対して消極的な方はもちろんですが、定期購入という制度が嫌いという方も存在します。このように、購入方法によりリピート施策を分けるのであれば、それぞれの対象ごとに考えるとわかりやすいです。たとえば、定期購入制度を主とした健康食品や化粧品等のオリジナル商材を扱う企業のリピート施策を対象別で区分すると、主に「定期顧客施策」と「非定期顧客施策」の2つで考えることができます。

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①定期購入制度の加入顧客に対して

加入してもらうだけで、ある程度のLTVを予測・期待できる定期購入制度。それゆえに、リピートの基本施策として定期購入制度を考えて加入促進する企業は非常に多く、一般的と言っても過言ではないかと思います。しかし、通販企業の多くは、定期購入制度加入に多くの労力をかけますが、加入後のリピート促進については弱い、というよりも、手をあまりかけていない企業が意外にも多いように感じます。それはなぜなのでしょうか。

定期購入制度は、加入した時点で非加入の顧客に比べ、LTVは大きな優位性を示す場合が多いので、釣った魚に餌を与えない状態になりがちなのです。また、取扱アイテム数が少ない企業では、定期購入制度での購入商品以外の商品の訴求頻度は多くならないので、結果的にアプローチが少なくなる傾向にあります。このような状態は企業が陥りがちな注意点なので、定期購入制度加入後こそLTV向上策の重要度をしっかりと捉えて対策を実施していくことが必要です。

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②定期購入制度の非加入顧客に対して

一方、定期購入制度に加入していないお客さまに対してのリピート施策は、主にキャンペーンを採用する企業が多いのではないでしょうか。定期購入制度は使用頻度に応じてお届けサイクルを設定するので、継続意志があることが前提となり、お客さまの商品の消費サイクルに応じて商品を届けることができますが、そもそも定期購入制度に加入しないお客さまは、継続使用の意思があるのかないのか判別が難しいのです。また、販促を行うタイミングもお客さまそれぞれで異なることになるので、きめ細かいタイミングでのアプローチが難しい傾向にあります。

このような状況のため、多くの企業は特定の時期にキャンペーンを計画してダイレクトメール(DM)等でアプローチします。しかし、単に商品情報をDMに掲載するだけでは購入はもちろん、DMを見てもらえないことすらあるので、「DM認識」→「DM閲覧」→「情報認識」→「購入意欲促進」→「購入」というような購入までのプロセスに応じて仕掛けを考えます。このようなキャンペーン企画が重要なことはもちろんですが、定期購入制度非加入顧客に対する販促でとくに重要なだけではなく、悩みの種となるのが対象者数です。

通販事業の立ち上げ方や資金力によりますが、なるべく投資リスクを少なく立ち上げる場合は、投資要素が強い新規顧客獲得販促の予算はミニマムで考えがちです。そうなると、定期購入制度の非加入顧客数がある程度の規模になるまでは、制作費の負担が大きくなるため、単発のキャンペーンで黒字化するのは難易度が高くなるのです。そもそも、新規顧客獲得のための販促は投資的役割なので、赤字になることも多いのですが、利益を創るべきリピート販促で赤字というのは企業にとって大きな負担となるため、非加入顧客に対しては、ある程度の時期になるまでは販促をしない、あるいはコストをかけない簡易なものにする企業も少なくありません。これは、定期購入制度をリピートのメイン手法とする通販企業にとって、とても悩ましい課題だと思います。

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リピート販促全体の考え方

これまで課題を主に説明し、効果的な具体策をあえて提起していないのですが、それは同じような商材や事業モデルであっても、企業ごとの強みや実際のCPO、LTVによって効果的な策が異なるので、あまり安易に小手先の手法を取り入れるのはリスクがあると思っているからです。通販事業に限りませんが、他社の策を模倣参考にすることは非常に有効であるものの、そもそも顧客の状態やLTV数値が異なるということは、評価基準も異なる可能性が高いので、単に手法のみを取り入れることはリスクが高いのは言うまでもありません。リピート施策は、戦術に当たる手法を考える前に、戦略とも言える全体設計を考えておくと整理しやすいと思います。「顧客属性ごとの対象者(定期購入顧客、非定期購入顧客、等)」×「販促の仕組み(定期購入制度、キャンペーン、等)」×「アプローチ方法(DM、同梱、テレマーケティング、等)」といったようにすると、区分された対象によってLTVの傾向も異なるため、重要度設定やコストの配分等を考えやすいからです。

新規顧客獲得販促が厳しい状況になることにより、初期資金の少ない企業は立ち上げが難しく、中堅の通販企業もリピート顧客の目減りによって、利益が微減する傾向が増えているように感じます。通販企業の重要課題は、厳しくなっていく新規顧客獲得販促による利益圧迫を軽減することはもちろん、より効果的に事業を成長させていくためのリピート施策を成功させることだと思います。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

コミュニケーションプランニングセンター

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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