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マーケティング

新たなビジネス変革+クリエーティビティ 電通グループのキーパーソン2人がトーク!②


2.デザイナーはどんなアプローチでビジネス変革を手掛けるのか。具体事例を交えて

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八木:
電通と顧客との何十年もの関係で得られたスキルの使い方を、少し変えることが、これからの進化というムーブになっていくと思っています。
使い捨てコンタクトレンズの事例をお話させていただきます。このコンタクトレンズは、薄くて携帯性が良いことに加え、レンズの内面に指が触れにくい構造。「衛生的なメリットがすごい!」って思ったんですよ。
また、単に一商品というよりも、この企業全体を牽引するイノベーションなものにできるのではと思って、「生み出せ」という言葉を付け、それを起点にデザインしていきました。コンタクトレンズの今までのイメージを、ハイエンドなものにしていったんです。
安田:
私も、初めて見たとき衝撃的なデザインでしたよ。
八木:
医療用機器は無味乾燥な物に思われがちで、コンタクトレンズもこれ以上進化しないのではないかと思われています。だからこそデザインがレバレッジを効かせることで、機能する余地が生まれます。僕は、「メガネにファッション性があるように、コンタクトレンズもそうであっていいんじゃない」と思い、「このブランドが欲しい、継続的に買いたい」と思うような世界観を実現。そして、これは狙ってなかったんですけど、スポーツや旅行の時はこっちを使うという「二種類使い」「セカンドレンズ」の需要も生み出しました。
安田:
カッコいいだけでなく、「企業が持っているビジョンや思いが新製品に生まれ変わりました」って言われると、クライアントさんも勇気湧きますよね。
八木:
与えられた課題である「薄いから売れる」っていう実質的価値は、そんなに魅力的じゃないなと感じていて。適切な課題を再設定することで解決に向かうほうが、いいデザインになりやすいのではないかなと思ったんです。
なぜ、薄いパッケージのコンタクトレンズを世に出したいのか。それはただレンズで視力を得るということだけでなく、QOLの向上を範疇としているから。そんなクライアントの優れた主眼を、目に見えるように、感じられるように姿を与えることが、僕たちの仕事だと思うんです。結局は「ブランドらしさ」をいかに引き出すかが、継続的な競争力を得るということ。付け足したり、顔だけすげ替えたりするのではなく、企業が持っているものを最大限活用し、現代のニーズと重ね合わせること。そういう考え方が重要なのかなと。
安田:
元々はそういう「優れた主観」や価値があったから売れていたのに、競争や雑音に紛れて、見えなくなったり、自分で消してしまったりしたものも、あるのかも。
八木:
クライアントの「主観」「世界観」は重要で、そこはまさにクリエーティビティ、デザインの出番。何十年も企業と消費者との接点を作ってきた我々と、コンサルとの違いではないでしょうか。
安田:
今は、同じようなサービスに行きついてしまったり、イノベーティブなサービスでないと受け入れられなかったり。そんな時に「デザイン性」「ブランド」「すてきに見える」、そういったことを掛け合わせると競争力が生まれるという素晴らしい事例でした。
もう一つの事例についても教えてください。
八木:
続いて、ロングセラーブランドのお菓子の事例です。お菓子は、社会人になると食べなくなる人が多いことが、慢性的な課題でした。
それに、スーパーやコンビニという環境は競争が激しいので、パッケージデザインは必要以上に声を大きくする必要があります。その過剰な競争の中で「何となく買われる」ということではなく、きちっと愛されて買われ続けたい。そんな思いから、今回のデザインができたんです。

若い人はSNSを当たり前のように使いますよね。そのことによってお互いの近況を知り得る機会が増え、ちょっとしたプレゼントを贈る行動が増えてきているそうです。
例えば、気を遣わせない1000円くらいのギフトで「誕生日おめでとう」って言ってあげるとか。そういう「日常的なギフト」の市場が成長してきていることも、リサーチの中で知り得ました。
今回手掛けたお菓子をこの市場に置くことによって、より競争力を持って、みんなに使ってもらえる、新しい使い方をしてもらえるという戦略です。
中身は変わらず一緒で、パッケージデザインを変えただけですが、これまでとは違う個人的に意味のあるもの、「私、これ持っていたいなぁ」っていう、そんな世界観にしましょうと提案しました。

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通常、「ギフト」がコンセプトだったら、リボンとか蝶ネクタイのマークを入れるよう言われそうですが、なるべくユーザーの入り込む余地を残しておきたかった。「ギフト」を強調するんじゃなくて、ユーザーにSNSで何と言ってもらいたいか、どういう風に写真を撮ってもらいたいかをイメージしてデザインしました。押し付けじゃなく、ニュートラルな遊び場として、自己ブランディングとして使ってもらいたいなと。
安田:
ユーザー同士が勝手に動いてくれる。お客さんが面白がってくれたり、贈りあってくれたりを、いかに誘発するかですよね。
八木:
そう、それができたんです。
デジタルの反動かなとも思うんですけどね。「デジタル世代だからデジタルが好きなんじゃないか」と思いがちですけど、むしろリアルな一体感みたいなものをみんな求めてるんじゃないでしょうか。

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こちらは年代別の売り上げのデモグラフィックスです。お菓子の中身は同じだけれど、従来のデモグラフィックスが、真逆のデモグラフィックスになっています。お菓子から離れていた世代が、お菓子として楽しむのではなく、SNS時代のコミュニケーションツールとして活用した、ということだと思います。

「デザイン」というと、見た目のデザインだと思われがちですが、それは「名詞的なデザイン」。しかし、もう少し動詞的な、再設計するという意味あいのデザインもあると思うのです。お菓子の価値を捉え直し、違うコミュニティに再実装することで、中身は一緒でも、全然違う価値を持たせることができるという事例です。

次週は「デザイナーならではの「視点」と、既存事業の変革検討プロセス」についてのインタビューを掲載します。お楽しみに。

Profile

株式会社電通zero クリエーティブ・ディレクター/アート・ディレクター

八木 義博

Driven by Designで企業ブランディングやビジネスデザイン支援、広告キャンペーンなど、幅広いクリエーティブを展開。
主な仕事に、JR 東日本「行くぜ、東北。」、HONDA「Human! FIT」、江崎グリコ「Pocky THE GIFT」、メニコン 「Magic-1 day Menicon Flat Pack」、日本郵政グループ企業広告、アド・ミュージアム東京など。
受賞に、Cannes Design Lions グランプリ、CLIO Design グランプリ、ONE SHOW Design グランプリなど。
東京アートディレクターズクラブ会員 京都芸術大学 客員教授

株式会社電通デジタル ビジネストランスフォーメーション部門 部門長

安田 裕美子

電通入社後、ビジネスプロデュース部門を経て新設のデジタル組織にてマーケティングの高度化を推進。その後電通デジタル設立に参画。デジタルトランスフォーメーション領域の企業コンサルティングを手掛けるほか、事業のサービス化=サービスマーケティング領域において新規事業の開発、ビジネルモデル変革支援、顧客接点の構築、施策マネジメント等に従事している。

PROFILE

エリアシ編集部

株式会社電通西日本

エリアシ編集部です。地域のマーケターのみなさんに必要として貰えるコンテンツを目指して、エリアシを運営中。お役立ち情報を発信していきたいと思います。

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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