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運用型広告の代理店とクライアント間で起こりうる障壁、課題と解決法とは

デジタルマーケハンドブック<中級編>Vol.2

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リスティング広告を自社で運用できている企業にとって、リスティング広告の運用代理店(以下、代理店)というのはその存在意義が不明瞭になりがちです。クライアントが代理店に求めているもの、そして代理店がクライアントに提供するべきものとは一体何なのでしょうか。単なる運用代行ではないリスティング広告の在り方、そしてクライアントと代理店の間に起こりうる障壁の解決法について、今回はお話します。

もはや一般的となったリスティング広告では差別化が難しい

 2016年現在、WEB上でビジネスをする企業は皆、その第一歩としてリスティング広告から利用し始めるのが常識となりつつあります。誰でも気軽にオンラインでアカウント開設、出稿ができるリスティング広告は、広告主が自社で運用管理できる気軽さがそのメリットです。さらに、その気軽さに加えGoogleやYahoo!のラーニングが充実していることもあり、運用を社外に依頼する場合に代理店の差別化が難しいという問題があります。
中小規模のクライアントの中には、いずれリスティング広告は自社で運用できるようにスキルアップし、代理店に運用を依頼する際に発生する手数料を削減したいと考えている企業もあります。
 リスティング広告を運用する際に必要な「基本の型」というのは、どんな業種でも基本的には共通しています。キーワードの選定やグルーピング、広告文の作成と入札単価の調整……。こうした基本の型を覚えてしまえば、クライアントは自社で運用ができてしまうわけです。
では、実際に代理店はどこで差別化を図っているのでしょうか。実際には、出稿予算のミニマムを引き下げたり、運用手数料を他社よりも安くしたりと、代理店自身の利益を削った価格競争に終始してしまっているのが現状です。

差別化が難しい=費用が減額された結果

 価格競争以外に差別化が難しいということは、代理店が運用するリスティング広告の効果や良さがよく分からないと言い換えることもできます。実感できるリスティング広告からの集客効果がなく、その結果リスティングにかける費用は減額されてしまい、代理店としては十分な検証や獲得が見込めないといった悪循環に陥るケースが発生します。
このようなケースは、代理店がクライアントにとっての「費用」を「売上」と捉えてしまっていることによく原因があります。運用費用がそのまま売上になる代理店と、預ける費用の中で効率的な顧客獲得を最短ですすめたいクライアント、両者の意識の違いを少しでもなくすことが差別化の第一歩なのかもしれません。
 まずはクライアントが望む効果を代理店としてしっかり出すことは大前提です。さらには、クライアントと同じ目線、つまりはエンドユーザーの立場で物事を考え、クライアントと同じ危機意識を持ってリスティング広告を利用した集客のお手伝いをするというのが本来あるべき代理店の存在意義なのではないでしょうか。

クライアントが専門知識を有しているとはかぎらない

 クライアントの望む効果をしっかり出すのが代理店の務めとはいえ、なかにはリスティング広告やWEBマーケティング全般についての専門知識をあまり持たないクライアントもいます。こうしたクライアントは解決の難しい要望も多く、代理店とのやりとりに障壁が生じます。例えば、予算は10万円、クライアントが掲げる目標CPA(1件当たりの獲得費用)が500円、しかし指定されているランディングページのCVR(コンバージョン率)が悪く、かといって入札単価を抑えてしまえば表示回数が減って獲得自体ができない場合があったとします。
この時点で改善すべきは、キーワードの見直しやランディングページ内容も該当するものの、まずはクライアントの認識を改めてもらうことが肝心です。現状をしっかり理解してもらい、CPA500円では現状獲得がどうしても難しいことを伝え、順を追って運用改善していく具体策を策定してあげることが必要になります。
 専門知識を持たないためにあまりにも難しい要望を設定してしまっている場合には、運用した結果による適正な目標設定の見直し、そして今後の展開イメージをクライアントと一緒につくっていくことが大切になるでしょう。

問題解決のためには考え方や売り方から変えてみるべし

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 例えば、1,500円の商品をCPA500円で獲得したいクライアントがいたとします。キーワードや広告文、入札単価の最適化を優先して行ってきた結果、当初2,000円近かったCPAを1,000円までは引き下げることが出来たものの、現状これ以上の改善は厳しいという問題にぶつかりました。クライアントにとっては、リピートが見込めない商品のため、CPA1,000円では赤字運用になってしまいます。そこで代理店がするべき提案とは、どのようなものが考えられるでしょうか。
 まずひとつには、リスティング広告単体で改善できる獲得効率には限りがあることを伝え、リスティング広告でCPA500円の獲得をするためには、他にどんなプロモーションが必要なのかを考えるべきです。リスティング広告は、興味を持って検索するユーザーがいてはじめて獲得が成り立つので、性質上、見込みユーザーを増やすための施策は必要不可欠です。商品名やブランド名での獲得効率を今の基準値とするのが分かりやすいはずです。
 また、まとめ売りやセット売りをするなど、リスティング広告から誘導する売り方を変えることも有効であることを理解してもらい、リスティング広告に合った販売価格や売り方を用意することで改善できたケースは多く存在します。
 そして最後に、リスティング広告で獲得しているのは商品売上ではなく「顧客」であるということを理解してもらう必要があります。リピート施策やクロス商品の販売など、既存顧客の育成はクライアント自身が自社で戦略を立てて伸ばしていくべき分野です。こうした体制が整えば、顧客一人当たりのLTV(顧客の生涯価値)が伸び、それに準じて高く設定したCPAで「顧客獲得」ができるようになるわけです。

クライアントとの間に生まれる課題の解決方法まとめ

 所属する企業が違うというだけで、同じサイトや商材を扱っているにもかかわらず立場や視点が変わってしまいます。これは全てにおいて言えることですが、それぞれの立場はあれど、リスティング広告を運用する上で一番に考えるべきは「エンドユーザー」です。この点を共通認識として持ってさえいれば、代理店はクライアントのパートナーであり、一緒に集客施策を実施する仲間であり、理想的な協力関係を築けるはずです。

 リスティング広告はウェブマーケティングの土台的な役割を果たすツールであることから、リスティング広告だけにとらわれないウェブマーケティングの広い視野と戦略を提案できる代理店は非常に魅力的です。クライアントのウェブ担当の立場で考え、どのようにリスティング広告からの集客を最適化していくのか、考え方ひとつでクライアントとのあいだに生じる課題の解決に向けて進めていけるのではないでしょうか。

PROFILE

住谷 徳人

株式会社電通西日本 

コミュニケーションプランニングセンター 

プランニング部 兼 デジタルビジネス部 兼 メディアビジネス部 

デジタルマーケティングプランナー

2010年某通信会社にて、営業・企画・バックヤードに関する業務に従事。2015年電通西日本に入社。 入社から3年間、デジタルマーケティングプランナーとして、BtoB企業(給湯、半導体、地下タンク、駐車場、繊維、鉄鋼、電子・電気)を中心に、幅広い業種のデジタルコミュニケーション領域を担当。マーケティングオートメーション領域を中心に、デジタルコンテンツやシステムを活用したデータ統合的なマーケティングを実践。最近では、マスメディア×デジタルのコミュニケーションへと領域を拡大し、更なるコミュニケーション領域の拡大へ邁進。

■上級WEB解析士

■.comMaster

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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