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通販/ダイレクト

顧客に伝えるべき「情報の量と質」に注意!リピート型通販事業の上質なブランドのつくり方~黒字化以降の商品展開④

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.47〉

数回にわたり、商品戦略と展開に関する内容を発信してきました。今回は、前回の「3.健康食品」の続きから説明していきます。

3.健康食品通販

健康食品の商品戦略検討の注意点

(前回:注意①種類の充実=購入単価UP、注意②差別化の難しさ)

注意③知らないうちに起きてしまう「思い込み」

商品を自社開発できる事業社=メーカーは、顧客リピート型通販事業では商品設計・スペック面等で有利な点が多いのと同時にデメリットもあります。それは、機能やバリューチェーン・サプライチェーン等の構造によるものよりも、スタッフの意識や考え方に起因して生じやすいかと思います。たとえば、メーカーは技術レベルから商品開発をすることが可能なので、OEM企業と連携して開発するよりも時間や手間等の負荷が高くなる反面、差別化しやすい特徴的な商品開発ができるという強みもあります。

またメーカー事業社のスタッフは、苦労して開発した付加価値の高い自社商品に愛着と自信を持ちやすくなります。それらは商品販売の場面では強い武器になりますが、こだわり・思い込みにつながる要因でもあるのです。メリット面を強く発揮してデメリット面を抑えながらスタッフを育成することは、チームリーダーの重要な役割のひとつと言えるでしょう。しかし、そもそも通販事業経験がないチームのリーダーには「これがよくない思い込みである」と認識することが難しいので、経験値のある第三者からのチェックをおすすめします。このような意識で生じるいくつかの悪いケースを紹介します。

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1:商品説明が少なくなる

これは、自信があるゆえの「よい商品だから、使ってもらえればわかる」という考え方です。しかし、多くの健康食品は実感性が緩やかなので、よい商品と実感するまでには時間がかかりやすい傾向にあります。また、事業社スタッフの「効いた」という実感は前向きな意識があるとプラシーボ効果も発生しやすいためなので、自分の感覚をそのまま顧客に反映してしまうとコミュニケーションギャップが生じかねません。

1点補足しておきますが、多くの健康食品が実感しにくいのは効果がないからではなく、作用が緩やかなうえに多岐に渡るため、飲用者自身で気づきにくいという意味です。たとえば鎮痛剤は頭痛を和らげる等、医薬品のようにピンポイントで症状に働くのではなく、健康食品は身体をよい状態に保つための広い範囲での適切な栄養補給の一助なので、実感しにくいのも当然でしょう。

そしてスタッフの伝え方の問題ですが、これは商品情報を少なくしようと明確に方向性を定めているのではなく、無意識のうちに自然と前述のようなこだわりにつながり、情報の質も量も少なくなっていく慢性疾患のような状態と考えるとわかりやすいかもしれません。自社商品への愛着と自信を持ちながら、商品そのものだけでなく、情報も併せて実感してもらうのが望ましいと考えましょう。

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2:BtoC=多数のエンドユーザーとの直接のやり取りの難しさ

通販事業に参入するメーカーは、流通による店舗販売(委託販売)、あるいは他販売社のOEM製造業等で事業を運営されている、つまりBtoC事業が未経験のまま通販事業を立ち上げるケースが多数なのではないでしょうか。顧客志向、これは通販事業を成功させるために徹底的に教育等でスタッフに意識づけしなければならない重要な価値観です。BtoC経験が浅いとこの顧客志向が低くなりがちで、前述した「1:商品説明が少なくなる(=弱い)」はどちらかと言うと発信頻度や量に関わりやすいのですが、こちらは情報の質低下に関連しやすいようです。

では、情報の質が低いとはどのようなことなのでしょうか。簡単に言うと、コミュニケーション慣れしていない話下手な人をイメージするとよいでしょう。情報は発信することが目的なのではなく、相手=顧客に理解してもらうことが目的です。そして、実は理解だけでも不足なのです。納得や共感、感動といったところまで「顧客がどう感じるか」を考えながら、情報の表現・伝え方を工夫していかなければなりません。

たとえば、「夏は暑いので体調管理に気をつけましょう」という文章は大まかな意図は伝わりますが、記憶に残ったり感心・感動につながるような内容ではないでしょう。対して、「夏は暑く発汗による水分不足になりやすいので、水よりも体液に近い○○水をこまめに摂りましょう。お互いに声をかけあって、健康に乗り切っていきましょう!」という文章になると、読んだ人にとって価値になり得る情報や気遣いを感じてもらえます。発信情報やメッセージは外注の制作に委託するケースが多いと思いますが、外部にすべて依存するのは危険です。外部制作はあくまでも事業社の顧客に対する方向性を文章等の制作物に具現化するのが役割なので、事業社に前述したような顧客志向に関する意識がなければ制作物にも表れにくくなるからです。

通信販売という手法でエンドユーザーと直接的に関係性をつくり高めていくダイレクトマーケティングでは、寡黙で実直なものづくりをする職人気質だけでは成功は難しいと思います。つまり、話し上手な商売人の人格を併せ持つことが必要となってくるのです。

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「商品」戦略とは、商品+情報とブランディングの戦略のこと

以上、数回にわたって「食品」「化粧品」「健康食品」と商材別に商品戦略について述べてきました。
テーマとして「商品戦略」と表現していますが、顧客リピート型の通販事業では商品そのものだけでなく関連する情報も併せて「商品」であり、商品によって事業社を知ってもらうブランディング戦略も密接に関連づけていくことが上質なブランドをつくっていくうえで非常に効果的です。「顧客創造→顧客価値向上」は通販に限らずマーケティングの基本的な考え方のひとつですが、BtoCのリピート型通販事業はそれを土台としたビジネスモデルなので、商品、情報、スタッフの意識等さまざまな要素を関連づけて計画をつくると、ビジネスモデルの強みが発揮しやすくなります。

まとめ

商材別に重要な項目ごとの説明をしてきましたが、最後に現場視点で「注意が必要」と感じたことをいくつかあげておきます。これまでの内容と併せて参考になれば幸いです。

●商品展開のロードマップは、事業立ち上げ時に5〜10年間くらいのものをつくり、毎年アップデートしましょう。とくに黒字化したタイミングでの修正は非常に重要になるので力をいれましょう。

●事業社のポリシーに関わるような論理矛盾が生じないように気をつけましょう。たとえば、「国産」というワードを強調しながら主原料が海外産の新商品を発売するなど。この場合「国産」というワードに頼るのではなく、「なぜ国産をよしと考えるのか」ということを発信しておけば矛盾は防げます。

●新規の素材や成分は、しっかりと吟味しましょう。健康食品等の健康・衛生系に多いのですが、急速に話題性が高まりながらもエビデンスが薄い商材が定期的に生まれてきます。売れそうだからと安易に飛びつくのは、非常に大きなリスクを含みます。

●未経験の若いスタッフだけで進行することはやめましょう。歴史あるメーカーが新規事業として通販事業に参入するときに、このような体制でスタートするケースがあります。未経験の若いスタッフで立ち上げること自体が問題ではありませんが、経験豊富なリーダーと合わせて組織的に対応するのがよいでしょう。

●制作に限りませんが、外注先に依存しすぎないようにしましょう。情報発信等のコミュニケーションは、顧客とのよりよい関係性構築に直結します。

●自分たちが販売する商品は、自らお金を払って購入し、使い、評価しましょう。顧客に「伝わる」情報とは実感がこもったものであり、表層的だとすぐに見透かされてしまうからです。自分が食べたことのない料理を、友人に「美味しい」と勧める人はいないのと同じです。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネスプロデュース室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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