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通販/ダイレクト

顧客リピートまとめ編:施策を考えるタイミング=顧客との向き合い方を考えるタイミングに!  ~黒字化以降の戦略と課題⑧

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.43〉

顧客リピート販促には「顧客主義」が現れる

数回にわたり、「黒字化以降の戦略と課題」における顧客リピートについて述べてまいりました。顧客リピート販促を効果的に実践していくためには、RFM分析やプレゼント・値引きといったオファー等の手法も重要ですが、顧客に対する意識がそれらの方向性を大きく左右する基盤になるということが一番伝えたい部分です。顧客主義が顕著に現れるのが顧客リピート販促なので、改めて自己評価と改善につなげていただければと思います。

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メーカー系事業者の通販参入で見逃しがちな3ポイント

通販を行うためのさまざまなインフラ(受注、配送、入金等のフルフィルメント)が整っていなかった頃、メーカーは商品をつくり、卸を経由して店舗で販売する、つまり販売は別の機能(事業者)というのが一般的な流通でした。このような構造が「よいものをつくれば売れる」と考える一因になったのではないかとも思います。これは間違いではありませんが、商品がよいだけで売れるとは限らないのが現状です。数年前までは、通販市場の拡大に伴いエンドユーザーに直接商品を販売するためのインフラが整ってきても、メーカーは卸や小売りに配慮して積極的に通販事業を展開しにくい状況があったように思います。通販市場拡大というチャンスに対してチャレンジできない、というもどかしさがあったのかもしれません。

通販市場は、従来の流通経由の店舗小売りと比べると規模はまだまだ小さいので、ある程度の規模までは成長し続けると予想されていました。さらに、ここ数年の社会情勢の急激な変化に伴い、規模のみでなく新しい機能や手法が充実し、参入事業者も大幅に増加しながら複雑で大きな変化が起こっています。この流れはメーカーがBtoC事業に参入しやすくなる、また参入せざるを得ない事情も含んでいるのではないでしょうか。いずれにしても、今後はこれまで参入していない・参入しても積極的に展開していなかった事業者(とくに老舗・メーカー系)の活性化が促進されるのではないかと推察しています。そして、これらの事業者は実は通販=ダイレクトマーケティングと相性はよいにも関わらず、経験不足によりせっかくのチャンスを見逃しているケースもあるように思います。チャンスを確実に活かせるように、その残念な「見逃しポイント」をチェックしていきましょう。

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ポイント1 商品に対する過信

あえて「過信」と強い表現をしましたが、長い歴史の中で試行錯誤して開発された商品は、実際に過信に足るよいモノであることが多く、いまほど多種多様な商品が流通していない時代であれば、発信情報が少なくても使うだけでよさを実感しリピートしてもらえたでしょう。しかし、いまは「商品がよいだけで売れる」時代ではありません。商品に関連する情報を伝え、その伝えた情報によって顧客に何を感じイメージをしてもらうか。この2点を意識してコミュニケーションをしていかなければ、商品の購入あるいは事業者に対するプラスの感情をつくることは難しいのです。

経験豊富で顧客主義の意識が高いリーダーがいる現場ではこの2点を実践できているケースもありますが、体系化した仕組みとして運用せず個人の感覚で行っていると、なかなか組織としての強化にはつながりにくいようです。人の感覚や感性は非常に重要だからこそ、それらを客観的に把握したうえで体系立てて確実に他者に展開していくことが、組織としての機能性を高めるために必要なのです。商品に対する自負と自信の表裏とも言える過信。視点を顧客目線に変えることで、コミュニケーションの方向性が大きく改善されます。

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ポイント2 発信情報の不足

一言で言うと、「伝えなくても、使ってもらえればよさがわかる」という意識です。顧客軽視をしているわけではない場合が多いのですが、逆にそれが厄介でもあります。多種多様な商品が世の中に存在している現在、使うだけで類似商品に比べて圧倒的に抜きん出た評価をしてもらえるような商品はなかなかありません。化粧品を例にすれば、使用感だけで圧倒的優位性が評価できるアイテムはあまり多くないと感じています。もちろん、それぞれの商品の特徴はさまざまあり、それらは説明が加わることでその意図が伝わり、評価を高めることにつながります。しかし説明がなければ、事業者が意図しているプラス要素がマイナスに捉えられるという危険性もあります。商品そのものをハードとすると、顧客とのコミュニケーションによって理解や期待していただく情報はソフトとして考えるとわかりやすいでしょう。

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ポイント3 表現の弱さ

前述した「伝えなくても使えばわかる」よりもよい状態ではあります。とは言え、エンドユーザーとのコミュニケーションは奥深く、相手に配慮することを日常の業務の中で意識し続けることが大切です。一概には言えませんが、卸〜店舗販売では商品のよさを伝えることよりも、仕入れ値や返品等の取引条件の方が重要視される傾向があると聞きます。このようなことも一因となり、営業部門のスタッフは商品の特長の理解・表現不足になりやすいようです。たとえば「原料の選定にこだわっています」と伝えても、具体的な情報がないので顧客の共感や感動にはつながりません。一方、「原料1トンから3週間かけて厳選し、最上級10キログラムのものを使用しています」だと、専門的知識がなくても読んだ方の頭の中でつくり手が「こだわっている」イメージが具体的に形成されます。意味が伝わるだけでなく、「伝えた情報によって、顧客の感情に起伏を起こせたか」という観点で考えるとわかりやすいかもしれません。

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顧客リピートのまとめ:あなたは顧客をわくわくさせているか?

独自性や付加価値、事業者の考え方等が商品購入のトリガーになるということもあって、わたしは食品、飲料品、健康食品、アパレル、雑貨等、広く通販を利用しています。その中で、実際に前述したような残念な経験をすることもあります。先日、とある商品を購入しました。価格は少し割高でしたが、それ以上の期待感、わくわく感を感じました。しかし、商品が届いて一気に残念な気持ちになりました。こだわっているであろう商品や事業者の情報がほとんど同梱されていないのです。その事業者や商品の情報に対する理解を深め、より「好き」になる機会が得られませんでした。

顧客リピートには、LTVとそれに関連する購入単価、購入回数、アイテム種・数、購入サイクル等さまざまなKPIがありますが、それと同等、あるいはそれ以上に重要なのは「顧客に届ける情報の量と質」です。通販市場は競争が激しく、安易な参入では成長までに時間を要しますが、きちんとした数値計画と方向性をつくって成功した事業者がいるのも事実。また現状の大きな変化は、とくに老舗・メーカー系事業者にとって好機会だと思います。つまり、顧客リピートの施策を考えるタイミングは、自分たちの顧客に対する向き合い方や状況の把握をするよい機会でもあります。だからこそ、手法などの小手先からではなく、「顧客に対してどのようにすべきか」というところから議論を始めることが大切ではないでしょうか。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネスプロデュース室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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