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黒字化のタイミングは、第2のスタート地点! リスク知らずで事業を成長させるのに、押さえておきたい注意ポイント4つ。

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.27〉

黒字化は、これ以降の目標や方向性をつくり直すタイミング

通販事業を立ち上げた多くの企業の最初の目標は、黒字化(赤字構造→黒字構造の構築)であり、それ以降のさらなる事業成長のための土台となります。事業の規模(売上、利益など)や状況の変化によって再設定する目標と方向性をきちんと議論して形づくらなければ、思わぬ大きなリスクが突然発生することになりますが、その分水嶺とも言えるのが、黒字化したこのタイミングなのです。

よくあるリスクにつながる4つの注意ポイント

「重要ポイントなので、しっかりとプランをつくりましょう」と言われても、そもそも黒字化以降の経験がない事業社にはわからない、というのが実態ではないでしょうか。リスクにつながるような注意点は状況により異なりますが、発生する可能性とリスクが高いケースをいくつか説明していきたいと思います。

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1)社内の問題

少し仰々しいですが、新たに立ち上げた通販事業以外に本体とも言える事業があると、経営層は通販事業推進を現場にまかせっきり、少しきつい言い方をすると丸投げにする、というケースを耳にします。BtoCの経験がない事業社だと、この傾向はさらに強くなります。

  • 経営層の通販事業構造の理解度が薄い(理解している人がいない)
  • 経営層が、現場の状況(数値以外の課題や具体的な業務、スタッフのスキルなど)を把握していない
  • 黒字化によって通販事業の注目度や重要度が高くなり、早い事業成長を期待される

このような状況があれば要注意です。

事業を立ち上げて黒字化まで苦労をしてきた現場への十分なフォローがなかった上層部から、黒字化が見えた途端に、現場の状況も理解しないままトップダウンの指示が増えると、現場はたまったものではありません。これらの要因は、現場のモチベーションの低下やキーマンと言えるスタッフの離職などにつながりやすいので、とくに気をつけてください。通販事業が、数値管理をベースにしたシステマチックな事業構造であることは間違いありません。しかし、それはあくまでも一部であり、それと同じくらい重要とも言える俗人的な側面があることも忘れてはなりません。

黒字化以降は、より戦略的に事業の目標設定や方向性を明確にし、それを進めるための課題を具体化してアクションプランをつくらなければならないのですが、現場スタッフの推進力を欠くような状況は、それまでの惰性で事業を進めてしまうということにつながってしまうかもしれません。

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2)数値計画の立て方

これもよく見られる注意点です。通販事業の数値計画のベースはCPOとLTVが土台になりますが、前回の記事でも説明したように、黒字化以降のランニングは難易度が格段に向上します。場合によっては、事業の立ち上げ時より難しいかもしれません。もし現場スタッフに黒字化以降の事業経験者がいない場合は、スポットでもよいので社外の経験者を加えて、いっしょに議論して計画・設計することをお勧めします。

書籍などからいくら多くの知識を得ても、経験に勝るものはなく、良質な知識は経験値によってはじめて役に立ち、通販事業ではとくに強く影響するからです。せっかく第2のスタート地点とも言える黒字化を達成したのですから、事業をよい形で成長させるためには慎重に慎重を重ねるように配慮しましょう。

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3)現場スタッフの現状把握と理解

通販事業の経験の少ない現場スタッフの方々は、試行錯誤して苦労を重ね事業を進めて、何とか黒字化を達成しました。これは高く評価されるに値することですし、今後のさらなる事業展開のためにもしっかりとモチベーション向上をしておきたいところです。しかし、このタイミングで起こりうるのが「現場スタッフの慢心」です。通販事業のベースとなる構造はシンプルなKPIによって成り立っているので、「事業がわかったつもり」になってしまうことが残念ながら見受けられます。

さらに、自分たちは経験値が十分になったと思っているところに、理解度の薄い経営層から口うるさく言われると、モチベーションの低下に拍車がかかってしまうのです。要するに、現場に発生する可能性が高いこのモチベーション低下というリスクの要因は、「経営層や会社の組織設計や推進体制」のみではなく、「現場スタッフの自分たちのスキルの過信」という2つが重なって発生する合併症のようなものと考えるとわかりやすいかもしれません。

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4)取引先との協力関係

これも黒字化以降に突然発生することではなく、ほとんどの事業社で事業立ち上げから進めている課題です。前述した1・2も同様ですが、重要な転機と言える事業戦略と展開の再設計のタイミングに大きなトラブルが発生するのは、実は「ある程度慣れてきた」と思っているところに注意点が存在します。これは新規に発生する課題というよりも、事業立ち上げ時から充実を進めてきたことなので、黒字化以降の再検討をおろそかにしてそのまま進めてしまいやすいからなのです。

通販事業はすべての業務を内制化することが可能ですが、ある程度の規模になるまでは外部業者と連携していくことは、効果・効率の双方を考えても有益であるケースが多いように思います。外部の協力会社については、発注業務や関係性によってポイントが異なりますので、今回は一番多くの費用を外注すると思われる媒体出稿(新規顧客獲得)にフォーカスして説明します。

「黒字化以降は事業を急激に成長させよう」と考える事業社は多いと思います。そうなると、「発注先を増やす」選択をするのは当然と言えるでしょう。しかし、これは要注意です。いろいろな施策の提案や情報提供を得るために、取引先を増やすことは一見有効のように見えますが、リスクも含みます。要するに、数を増やすと質が向上するとは限らず、逆に低下することも多いからです。

もう少し踏み込んで言うと、「質に大きく影響する協力会社のモチベーションに注意しましょう」ということです。協力会社とは単に発注額の大小のみの連携ではなく、商品や企業ポリシーなどへの賛同といった質的な面でも協力関係をつくることが望ましいです。とくに、付加価値の高いオリジナル商品展開をしている事業社は、この協力会社との関係性の重要度を高くしたほうがよいのです。

しかし、企業として受発注を行う以上、売上・利益というものが協力会社にとって重要であることは間違いありません。ストレートに言うと、「質的な連携を強化しながら、発注額も考えていきましょう」ということになります。これは、発注先に便宜を図るという意図ではありません。発注先を増やした場合、これまでの協力会社への発注額は増えるのか減るのか。「頑張れば増える」という精神論ではなく、どう頑張るのか、その方向性を具体化してきちんと共有し、モチベーションを向上させることを意識したほうがよいと思います。その協力の質を向上させるために、きちんとした説明をして理解を得ることは、相手はもちろん自社にとっても有益なので、手間をかければ一石二鳥といえるメリットになりえるのです。

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まとめ

黒字化したタイミングでリスクが発生する可能性が高く、デメリットが大きいケースをいくつか説明しました。
注意点は事業社の状況によりさまざまですが、外部の協力体制があれば事業は進むと勘違いして、現場スタッフを軽視しモチベーションを低下させる、あるいはキーマンが退職するという残念な現実を目にしてきました。まずは事業社内、とくに現場スタッフの推進力は重要なので、内部問題を払拭し、前向きに事業を進められるように目標や方向性などを整備するタイミングだと理解してください。

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PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

コミュニケーションプランニングセンター

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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