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黒字化の最短ルートは、自社の「ノウハウ・経験」と「商品情報」にあり~事業立ち上げ期の重要ポイント~

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.18〉

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まずは「事業の黒字化」を目指すために

前回の記事では、通販事業の立ち上げから見た状態を、「①赤字期(目的:黒字化)」「②成長期(目的:売上・利益の拡大)」「③衰退期」の3つに区分して簡単に説明しました。

今回は、その第1ステージとも言える「事業の黒字化」について、少し詳しく説明してみたいと思います。まず事業の黒字化を目指すためには、どういったことに注意し、どのような対策を取ればいいのでしょうか。

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「黒字化」に苦戦する原因とは?

通販事業の中長期的な方針や資金等のリソースの大小にもよりますが、通販事業を新たに立ち上げた多くの企業が、この「黒字化」に苦戦している状況をよく目にします。通販以外の経営基盤がすでにあり、通販事業をもう1本の柱にしようとして立ち上げる企業の多くは、通販市場のこれまでの急激な成長と、今後の成長傾向に大きな期待を抱いているからこそ、この苦戦状態に陥っているようです。

原因は大きく2つあるように感じます。ひとつは、通販事業の本質的な構造によって、「当初は赤字状態が続く」ということです。とくに、自社スタッフにもきちんと経験とノウハウを蓄積し、投資リスクを軽減しながらできるだけ効率的にして、立ち上げを行う場合には、皮肉なことに、一定期間の赤字状態は避けられません。

逆に、当初の赤字状態を回避しようと短期で黒字化を実現するために、初期段階である程度大きな資金を投下する方法もありますが、これまで説明してきた通り、通販はリピートによって利益創出するパターンが多いので、これはハイリスクハイリターンであることは否めません

もうひとつの原因は、「通販事業に対する上層部の不理解」です。通販事業に参入する企業はさまざまですが、B to Cの経験がまったくないメーカーや、店舗流通(B to B to Cのような形態)のように、エンドユーザーと直接やりとりするビジネス経験がない企業も多く、B to Cの中でも、ある意味特殊なリピート性を事業ポイントにした通販事業に関して、数値的な仕組みを見せられても、上層部はなかなか実感が伴わないので十分な理解にはいたらず、現場との意識のギャップが大きくなるケースもよく目にするからです。

要するに、そもそも黒字化までに時間がかかる事業構造があるにも関わらず、それに対して上層部が理解不足であるがために、過剰に「苦戦感」を感じてしまうのです。通販市場の成長に期待して通販事業を立ち上げたのはよいものの、新規顧客獲得やリピートによる利益創出という、基本的な構造を理解せずに売上・利益計画を立てた場合は、当たり前ですが、当初の予想外の赤字状態に直面して非常にネガティブな状態に陥り、事業推進が大きく失速することにもなりかねませんので注意が必要です。

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重要なのは、自社内のノウハウと経験の蓄積

これまでに何度もお伝えしていますが、通販事業で重要な指標は「CPO」と「LTV」です。投資的機能である新規顧客獲得と、利益創出機能である顧客リピートによって事業を成長させていくのが定石です。これらの数値はなじみにくくはありますが、中学校レベルの算数ができれば算出・理解できるので、決して難しくはありません。しかし、事業で使いこなすには、それなりの経験とセンス(適正)が必要です。

このような定量的な数値的側面に対して、両輪とも言えるもうひとつの重要ポイントが、定性的側面であるノウハウや経験値の蓄積です。事業展開のリソースにもよりますが、通販事業をある程度効率的に展開していく場合、外部協力者を活用することになると思います。事業立ち上げ前から立ち上げ初期段階の業務に関しては、計画策定には通販コンサル、広告の制作や出稿には広告会社、電話の受付や受注データ入力などにはコンタクトセンター、そして在庫管理と配送、代金回収には配送会社等。

これらの中で、「事業計画、データ入力、在庫管理、配送」以外は、売上や利益に繋がる、いわゆるプロフィットセンター的な役割・機能となります。結果、重要機能を外注に頼ることが多くなるということです。当然、「外注先はプロである」という前提で検討・選定すると思いますが、実はここに大きな落とし穴があるのです。ここでの注意点は、「外注先の選定には注意しましょう」ということはもちろん、自社内をある程度の評価、いわゆる目利きができる状態にしておくことが重要なのです。

そもそも事業計画の目標値は、他社実績などを参考に一定レベル以上の経験則によって設定します。しかし、実際に販促を実施してみると思うようにいかない(下ぶれする)ケースが多く生じます。そのときに、実施前の仮説に照らし合わせて検証し、再実施をすることになりますが、これをすべて外部に頼っていては実態が見えなくなってしまいます。そのあたりを踏まえて評価・検証できる「目」が自社内に必要なのです。

事業立ち上げ時点から社内で組織をつくり、対応するには大きなコストがかかるので、機能を外部に頼ること自体は効果的に事業を推進させていくうえで必要であり有効です。しかし、頼り切るのではなく、いわゆるディレクションやコントロール、評価・検証をしない「丸投げ」状態になることなく外部を活用すると共に、自社スタッフも経験を積んでいかなければならないのです。

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魅力ある商品の情報を整理する

また、事業を展開していくうえで、すべてに影響して最も重要といえるのが商品です。取り扱うものが健康食品、化粧品、食品のカテゴリーで一般流通商材ではなくオリジナル商材の場合、そして価格勝負(安価)ではなく独自性や機能性を高めた商品であれば、重要度はより高くなります。

ここでいう商品の重要度とは、商品自体の設計のみでなく、それをエンドユーザーに販売していくための情報の整備と、売るスタッフの熱意のようなものも指します。類似の競合商品と比べられた場合、価格以上にエンドユーザーに機能性を納得してもらい、対価をいただくことは容易ではないのです。

しかし、「熱意」というものは客観的に評価しにくく、また単に熱意を感じるような印象があればよいのか、というとそうではありません。具体的には、「商品に対しての情報が整備されており、それを外部協力者にしっかりと発信できているか」と言い換えることができます。情報の整備とは、商品自体の情報を整理して具体化することです。このような当たり前のことはできていて当然だと思うかもしれませんが、実際の現場では単に成分を羅列しただけの資料や、イメージだけで制作したパンフレットしかないということも意外と多いのです。

例えば、この2つのケースにおいて、前者では成分のみでなく競合他社商品と比較した場合の製法や配合量、出発原料などの優位性や、実際の使用感・機能性などを細かくまとめなければなりません。また後者では、さまざまな制約の中で記載可能な表現を検討して、商品の特徴や優位性を過不足なく伝える必要があります。

事業計画で設定した数値から大きく乖離(下ぶれ)して、何度PDCAを繰り返しても改善しないというケースは、実は商品自体の情報がしっかりと整理されていないことが多いように感じます。こうなると、いくら媒体選定や制作を繰り返しても、焼け石に水にもならない最悪の状態になります。

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まとめ ~事業の黒字化のために

自社スタッフの意識レベルと発信する商品情報を改善していくことで、外部の協力者にも商品に対する関心や自信が形成され、それらがよいクリエーティブやプランニングに反映されていきます。若干精神論的な印象にとらえられるかもしれませんが、事業立ち上げから黒字化までの苦しい時期にこそ、社内と外部の人材という基礎をしっかりと整備しておくことが重要なのです。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

コミュニケーションプランニングセンター

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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