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黒字化までとは状況も変わる、だから事業成長の戦略も変える! ~黒字化達成以降の戦略と課題~

通販・ダイレクトマーケティングの基礎講座 〈vol.26〉

黒字化達成以降に大切なのは、「改めて事業をどのように成長させていくか」

これまでの記事では、通販事業を立ち上げて最初の目標と言える黒字化までの注意点や考察ポイントなどについて説明してきました。今回からは、黒字化達成以降の戦略や課題などについて説明していきます。自社顧客を蓄積し、その顧客のリピートにより売上・利益拡大と事業成長をしていく、いわゆるリピート型の通販事業で「黒字化した状態」とは、以下のような状態であると思われます。

  • ① 目標設定したCPOで新規顧客を一定数、継続的に獲得できる。
  • ② 獲得した顧客が目標のリピート(LTV)をしている。
  • ③ 活性顧客が一定数以上存在する。

繰り返しになりますが、通販事業の売上構造を大雑把に言ってしまうと、CPOとLTVです。黒字化達成ということは、投資機能(短期的には赤字)であるCPOと回収機能であるリピート(LTV)のバランスが黒字化体質になっているということになります。

黒字化までは、どのようにしてCPOを抑えて新規顧客を獲得するか、つまり効率化の重要度を高く設定した展開となり、事業戦略はある意味シンプルとも言えますが、いったん黒字化した以降は、改めて事業をどのように成長させていくかという戦略的な部分が少し複雑になります。もちろん、黒字化までと同じ方向性で進めていくことも選択肢のひとつですが、事業社としては売上・利益の最大化を求めていく傾向にあるので、より事業責任者のノウハウやセンスによって左右されると言えます。

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黒字化以降は状況が大きく変わる、事業戦略の方向性

通販事業を新規で立ち上げた事業社にとって、「事業の黒字化」は重要な意味を持っています。事業の数値的な状態である「黒字化」は、ある程度の安定化を達成したと言える実績ではありますが、通販事業は新規顧客獲得という投資リスクをいかに最小限に抑えるかが重要になるので、思い切ったハイリスクハイリターンの事業立ち上げをしない場合、黒字化まで数年かかることも少なくありません。

通販経験の少ない経営層から見ると、新規顧客獲得で投資をして顧客リピートで回収する、リピート型通販事業モデルは非常にわかりにくく、黒字化達成までの赤字状態は不安要素そのものでもあります。現場は投資と回収を数値化し、テストマーケティングの実数をベースにしたシミュレーションをもとに事業の展望を上申しますが、それでも実感として体験したことがない経営層の不安感はなかなか払拭できないものです。CPOが好調となり、少し投資を増やせば黒字化を前倒しできるという状況になっても、経営層の不安が足かせとなり、なかなか予算を捻出できないということもよくあります。

しかし、黒字化を達成すれば状況が大きく変わります。さまざまな数値シミュレーションや顧客状態の説明など理解しているつもりの経営層も、黒字化の実現により不安が払拭されるので、事業に対して前向きになるからです。企業によって、どのように通販事業を成長させていくかはさまざまだと思いますが、多くの企業は「早く大きな売上と利益」を求めるのではないでしょうか。黒字化までは投資に慎重であっても、不安感が払拭されてからの企業は積極的になるので、多くの企業は拡大路線をめざすことが多いように思います。通販事業では新規顧客の獲得は投資となるため、どのくらい投資して売上額と利益額のバランスをとるか、ということが事業方向性のひとつのポイントになります。

黒字化まではある程度決められた予算内で効率化の重要度を高く設定して取り組んできましたが、黒字化以降は「効率化と最大化のバランスをとった事業計画をつくる」ということになるのです。これは、言葉では簡単に聞こえますが意外と難しく、予算のバランスやそのKPIを達成するためのアクションプランも、黒字化までのフェーズの延長線上で考えていると大きな失敗の原因となるので、注意が必要です。

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言うは易く、行うは難しの「効率化と最大化のバランス」

通販事業のKPIについてひと言で言うと、「CPOとLTVをどうしていくか」ということになります。一見シンプルに見えるのですが、実際にはCPOとは新規顧客獲得人数、LTVも活性顧客数というKPI値に直結する実数が存在します。たとえば、CPOが10,000円の新規顧客を1,000人/月というように、実際のプロモーションにはKPIに実数が連結しているのですが、実数を1,000人/月から増やす場合、基本的にCPOは悪化する傾向にあります。

前述したようなCPOと獲得人数の関係だと、黒字化までは多くの事業社は獲得人数を1,000人/月にしてCPOを優先します。CPOは低いほうがよいのは当たり前なので、検討の余地がないように思うかもしれませんが、これは大きな間違いです。とくに黒字化を達成し、それ以降に事業の成長カーブを大きく上昇させるのであれば、CPOが悪化しても獲得人数を増やさなければ成長スピードを上げることができないのです。

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黒字化までとは違う、黒字化達成以降の課題とポイント

黒字化達成以降に重要な「効率化と最大化のバランスをとった事業計画」づくり、まずは新しい目標に対する数値計画が最重要なのではないでしょうか。黒字化までと基本的な構造は同じですが、目標設定やそれぞれのKPIの組み立て方はまったく異なるといっても言い過ぎではありませんので、ビジョンを明確にし、経験がない方は経験者のサポートを得ながら組み立てることをお勧めします。そして、それぞれの設定されたKPIを達成するアクションプランも黒字化までと比較して難易度が向上しますので、数値計画とともに助力を得ながら組み立てていきましょう。

まれに、数値計画とアクションプランを別々のスタッフがつくって、書類上でまとめるといったやり方を目にすることがありますが、このパターンは失敗する確率が高くなるので気をつけてください。KPIの数値目標と、それを達成するためのアクションプランはしっかり連結させてつくらなければ、目標が未達になった場合、PDCAを展開することが滞ってしまうからです。

PROFILE

戸川 孝一

株式会社電通西日本 

ダイレクトビジネス推進室

ビジネスディベロップメントディレクター

1999年、電通西日本に入社。 以来16年間、営業職として、オフラインを中心に、様々な業種のクライアント様の業務支援を担当。その後、内勤職への異動に伴い、ダイレクト領域とデジタル領域を担うプランナーに転身。現在に至る。 顧客データをベースとしたダイレクトクライアント様の『オンライン×オフラインを駆使した新規顧客獲得』から、『セグメントに基づく顧客育成』までワンストップで対応。 各クライアント様のレスポンス数字と向き合いながら、身を持って、数字の『楽しさ』と『怖さ』を実感する、一喜一憂の毎日。

■通販エキスパート1級

■上級WEB解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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