
第3回
営業プロセスのデジタルシフトとインバウンドマーケティング
- 友田
- 大きな展示会は軒並み中止になりました。3月以降に新商品をお披露目する予定だった企業は、今年は全く営業活動が機能しませんでした。
B2Bあるいは、B2B2Cのビジネスで考えるとポストコロナでは、新しい方法での営業活動に取り組むことは必須だと考えています。
- 小西
- 展示会の価値を改めて感じることがありますね。
新規顧客の開拓で展示会などのイベントの果たしてきた役割は大きいですが、その中心的価値は同じ課題が共有されやすい見込客の集客力でした。
- 田代
- 当面、同じような展示会が開かれない可能性もあるし、ウェビナーなどの新しい取り組みを試す企業も増加中です。集客は自分たちでおこなわなければならず、思ったような効率を上げることは難しいですね。5万人規模での集客が出来ていた展示会と比べると、百人程度のウェビナーではインパクトに欠けるというか。
営業活動のデジタルシフトをどのように考えて行くべきなのでしょうか。
- 小西
- 電通西日本の営業のデジタルシフトの始まりは4年前に遡ります。MAを導入して、展示会にも多く出展し、セミナーをおこない、新しい引き合いを獲得していく。エリアシをきっかけにデジタルシフトの知見を貯めています。特にインバウンドマーケティングの知見としては大きいと考えていますが、こんな形でノウハウを活かす時が来るとは思いませんでした。
- 友田
- 電通西日本としては、ウェブサイトを優れた営業マンにできるかというチャレンジをクライアント企業に提案をしていきたいと考えています。これまでの営業ノウハウをどれだけ自社ウェブサイトに投入できるか、従来の営業プロセスと連携して効果的な営業活動を展開できるか。そんな提案ですね。
- 小西
- 営業のデジタルシフト、ウェブサイトの営業マン化について考えるためには、インバウンド力を高める戦略が必要ですね。自社ウェブサイトの集客力・情報提供力・魅力訴求力の視点からインバウンド力を考えていくとチェックがしやすいはずです。
広告会社としてはアウトバウンドのノウハウは多く持っていましたが、インバウンドのノウハウを提供することは新しい価値提供の業務になってきました。大事なことは、顧客の興味の目線でコンテンツを作っていくこと。顧客がキーワードとして使っている、あるは検索したキーワードに合わせてコンテンツを提供していくことがインバウンド力を高めるコツと言えます。専門的で、詳細な情報が優れているのではなく、顧客の求めているレベルの情報が優れている(支持される)と考える必要があります。
- 友田
- インバウンド力で集客できるようになったら、ビジネスとして大切なのはレスポンス獲得が重要ですね。ビジネス成果に直結するところなので、従来の営業活動のスキルや顧客とのやり取りの感覚を活かした説得・資料請求や申込みの獲得を行いたいところです。
例えば、営業場面でいつもお客様に質問される項目やチェックが入るポイントなどを、あらかじめコンテンツにしておく必要があります。多くの場合は、それをFAQのコンテンツに入れてしまいがちですが、営業マン型のウェブサイトはそれを資料請求や申込みのレスポンス獲得のページに直接表示したりする工夫が出来ますね。
- 田代
- レスポンスでは、真剣に検討してもらえている状況なのか、まだ調べているだけの状況なのかなど見極めながらレスポンスを獲得して行きたいですね。しっかりと情報を読み込んでいるなどコンテンツの閲覧状況をデータから推測したり、レスポンス時に状況を正確に聞く工夫をしたりする必要がありそうです。
- 小西
- 見込度の判定を可能にする方法の投入。これはウェブサイト内の様々な行動から把握できたりしますね。見込度が高い見込客は営業マンがフォローするとして、そこまで高くない見込客についてはMAなどとの組合せでフォローを継続して、見込客を捨てない、育成する。興味が出た瞬間を見逃さないような仕掛けをしておきたいですね。そのあたりが設計のミソになりそうです。
- 田代
- ウェブサイトは24時間営業ですが、顧客はビジネスアワーで動いていきます。顧客のビジネスアワーを意識した展開をすべきですが、顧客の時間の取り合いになる可能性も高い。だからこそ、ウェビナーなどのリアルタイムでの提供だけでなく、アーカイブでの提供など様々な顧客の都合に合わせられる柔軟性も大切だと考えています。
- 友田
- 企業によってはFace To Face重視の方針のため、ウェブサイトの営業マン化に不安を感じるケースも聞きます。ですが、ウェブサイトを営業マン化するということは、営業マンが不要になることでもないですし、全てがウェブで完結できるということではありません。ウェブサイトを営業的戦略に活用するために営業マンのノウハウを徹底的にウェブサイトに反映させるということを理解してもらえるといいですね。
第4回は、6月24日!マーケの強化書に掲載予定。ご期待ください!!
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