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ネット広告全般 コラム

~40男のデジタル奮闘記 第1話~いまさら聞けないデジタルコミュニケーションって何?編

~40男のデジタル奮闘記~ VOL.1

シチュエーション

西日本エリアの広告会社に勤め二十数年、40代半ばにして新しいセクションの責任者として配属されることになった主人公。
部のミッションは、ローカルといえど最近の市場のデジタル化に本気で対応しなくてはならなくなった環境の変化と、競合プレゼンなどで頭角を表してきたネット専業代理店や新規参入企業への対策。
実際、社の売り上げ構成もデジタル化の波を受け急激な変化を見せ、競合プレゼンの勝率もネット案件の拡大に伴い下落気味だ。
さあ、なんとかしなければならない。なにをするか・・・。

会 社:地域で1世紀の歴史を誇る老舗広告代理店『京王社』

キャスト紹介

いまさらながらデジタル

第1話:いまさらながら新セクション

春。世の中は新年度を迎え環境の変化が訪れる。

ビジネスの世界でも当然それはやってきて、人事異動や組織変更といった形に現れる。
エリアの広告業界も当然、さらにグローバル化、デジタル化といった大きな波を受けてドラスティックな変革が求められていた。

この地域で1世紀近い社歴を持つ『京王社』も旧来のビジネスモデルからの転換を迫られ、遅ればせながら新セクションを立ち上げることになる。当然人事異動も・・・。

「やっべえなぁ。なんだよDMCって。デジタル・マーケティング・コミュニケーション?
なにそれって?オレ営業しかわかんないし、コレっていじめ?プチいじめ?」

なんて社食の隅で人事異動の辞令をみつめ愚痴っているのは、入社以来20数年間を営業畑で過ごし、デジタルの案件になると曖昧な笑みと心無い相槌でかわしてきた井之頭(いのがしら) 結(むすぶ)部長。
そこに声をかけるロマンスグレーの長身の男性、同期の池尻だ。
井之頭とは同期で同じ営業畑ということもあり、戦友といった感じの付き合いだ。どちらかというと土の香りがしそうな井之頭に対してスマートさが際立つ。

Young man using his tablet in cafe

「おい井之頭。栄転おめでとう。」
「あっ、池尻(いけじり)。おめでたくなんかないよ~。なんとかしてよデジタルなんて。」
「なんで?業界でも今一番脚光あたってるデジタルじゃないか。そこのセクションのヘッドだぜ。羨ましいよホント。」
「羨ましいだなんてマジかよ。オレ営業しかしたことないし、4マスならわかるけどデジタルなんてなにすりゃいいの?オマエ代わりにやってくんない?」
「馬鹿いうな、無理だよ。そもそもオレ得意先の流通チェーンから離れられないし・・・、
でもね最近はキャンペーンもデジタル化してきてて、昔はシール集めて専用ハガキで応募って感じだったけど、いまやシールめくってHPにアクセスとかQRコード読みこんでなんて変わってきてる。だからキミのとこのセクションともかかわってくると思うよ。」
「そうなのか?でも、オレ3文字苦手なんだよROIとかKPIとか・・・、USBとかUSJとか、聞いただけで頭がいたくなっちゃいそうだ。」
「なんか色んな物がごちゃませになってるな。でも大丈夫。メンバー見たらなかなかの精鋭が集められてるじゃん。駒場と円ちゃんをリーダーとサブに立ててだな、よく話し合いながら相談してセクションの方針固めてけば、彼らならしっかりやってくれると思うよ、ホント。」
「そうかぁ~、そうなのかぁ」
「同期としてオレもできるだけサポートするから、花形セクションの部長として頑張れ」
「ああ・・・、よろしく」
憂鬱そうに返事をする井之頭の肩をポンポンと2度叩いて、池尻は颯爽と去っていく。
確かに入社以来ライバル視してきたこともあったが、仕事の進め方やライフスタイルなど全く井之頭とタイプの違う池尻は紛れもなく戦友だ。なにかと頼りにしてきたし、欠かせない相談相手でもあった。新しい領域のアドバイスなど、なくてはならない存在だ。
そんな池尻が爽やかに去って行ったのとは対照的に、ひとり社食に取り残された井之頭は不安な気持ちで、発表された人事異動のリストを改めて見つめた。
だがこのロマンスグレーの池尻が言ったのももっともな話で、ネットがこの世にあらわれてから20年、さらにツイッターに至っては10年足らずの間に、デジタルがコミュニケーションの世界地図を塗り替えてしまった。

今回発表されたデジタルの伸びは著しく顕著で市場にも十分なインパクトを与えている。
そんな環境の中、デジタルの新セクションを設立した京王社は時遅しの感はあるが、ギリギリのタイミングだったかもしれないが、社としてここから巻き返す、必ず生き残る。
という並々ならぬ決意の表れでもあった。
一線の営業として時代の変化、環境の変化を生き抜いてきた井之頭をヘッドに抜擢したのも、社としての意思表示だったのかもしれない。

そんな会社の思惑を知ってか知らずか、井之頭はただオロオロしていた。
「とにかく連絡してみるか・・・。」
ため息交じりに呟きながら席を立つ。

その日の午後、日が少し長くなってきた夕暮れ時、池尻が話したように駒場(こまば) 東(あずま)と吉祥寺(きちじょうじ)円(まどか)を呼び出す。
「ああ、ごめん二人とも。初めて話すのかな・・これから新しい部署DMC部の部長になる井之頭 結といいます。デジタルのことは正直あまり詳しくないんで・・どうかよろしくお願いします。」
井之頭は、社内でこんなに腰を低くすることなんていままで無かったな。なんて思いながら語りかける。
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
声を合わせる二人。

Business colleagues greeting each other in the office

「でさあ、唐突なんだけど・・何すりゃいいのかなぁ?なんて・・・」
凄くバツが悪そうに井之頭が話を続ける。そこに東が被せるように軽い返答をする。
「大丈夫っすよ。ガンガン行きましょう。チョーわくわくする。」
何を考えてるんだこの男は。そんな空気に井之頭と円があっけにとられる。
「社からのミッションはどうなんですか?」
円がクールに質問する。
「いや、社のデジタル案件の窓口というか・・新規案件の創造とか・・。」
井之頭が相変わらず曖昧に答える。
「では、まず昨年度のデジタル案件のリストアップをしましょう。内容と金額、それに競合状況も欲しいですね。ねえ東さん。」
曖昧な井之頭を気にも留めずミッションを具体化していく円。東を巻き込んで。
「ああ・・・、そうだね。さすが円ちゃん。」
円の勢いに押されて東も同意する。
「それで私たちはどうやってビジネスを生み出すんだ?リスト纏めるだけじゃあDATA班みたいなものじゃないか。」
少し部長らしく発言してみる。
「ふっ、リストは大事です。大丈夫です。」
円が自信ありそうに答える。
「そうだね。それがあればオレらが何すればいいか見えてくるしね。」
東が意見を重ねる。井之頭はどうもこの男の喋りが気に障る。
「ビジネスは生み出せるのか?」
円にだけ聞いてみる。
「ええ、まずどの会社がWEB領域に関してニーズがあるのかが分かります。するとそれは同業他社にも同じニーズがあることが見えてきます。私たちはAEじゃないので色んなクライアントにセールス行けますよねぇ。もちろん優先順位はありますが。」
「そうだな。でもいきなりセールスに行っても受け入れられるのか。」
井之頭の不安癖は止まらない。
「垣根を下げましょう。最初の入り口。これをグッと下げて、新規セクション、新規クライアントが取り付きやすくしてあげましょう。」
円は動じない。
「例えば?」
「コストが少しかかりますが、私はPPC・ペイパークリックがお勧めです。」
「なんで?」
「まず流入数や流入ユーザーの分類をするためにキーワードを分類します。たとえば『いつかワード』『潜在ワード』『顕在ワード』。これはクライアントとユーザーの距離感を表します。自分の考えたワードでクライアントとユーザーの距離が縮まっていくなんてロマンティックじゃないですか!ドキドキしますよね。」
いくつかのやり取りで円の頭の良さが際立ったが、変人ぶりも十分に発揮した。
「そ、そうか。そうなのね。」

少し会話をしただけで、二人のデジタルリテラシーが高いことはよく解ったが、若干コミュニケーション能力に不安があるかもしれない。
でも今はこの二人に牽引してもらって、何とかこの局面を乗り切っていかなくては・・・
と井之頭は考えていた。

そして新しいセクションに光が見えたのか、曇天のままなのか?井之頭は不安を抱えつつ、京王社のデジタルの時代は明けようとしていた。

(参考:2015日本の広告費内訳 電通調べ)
circle graph

【いまさらながらの3文字解説】

ROI:【Return On Investment】 投資対効果/投資収益率/投資利益率/投下資本利益率

KPI:【Key Performance Indicator】重要業績評価指標/主要業績評価指標

USB:USBメモリー/USBハッシュドライブ データの読み書きを行う半導体メモリを用いた補助記憶装置

USJ:【Universal Studios Japan】 株式会社ユー・エス・ジェイによって運営されている、大阪府大阪市此花区にあるテーマパーク

【いまさらながらのデジタル用語】

PPC:【pay per click】掲載にはコストがかからず、広告が実際にクリックされた回数分だけ費用が発生する、クリック課金型のインターネット広告。

【いまさらながらの広告用語】
AE:アカウント-エグゼクティブ。広告主別担当責任者。広告主の意を受け,広告に関する一切を統括する

PROFILE

廣瀬 亘

電通西日本

コミュニケーションプランニングセンター ビジネス開発部

ビジネスデベロップメントディレクター

1996年、鉄道系広告代理店より転職し電通西日本に入社。広島支社にて営業職を務め大手紳士服販売会社、大手移動体通信キャリアをアカウントプランナーとして担当。地域電通発足時に企画営業スタイルを創造する。 その後内勤職としてプロモーションとマーケティングを融合させたソリューション・セクションの立ち上げに従事。大阪本社に移動後コミュニケーションプランニングセンターに所属し新規ビジネスの開発に携わる。近年は、数字では見えないクライアントとユーザーとの関係性。たとえば共感・愛着・信頼が生み出す価値を重視してプランニングすることを目指している。

■日本マーケティング協会 マーケティングマスター

■ウェブ解析士

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
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