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マーケティング

【寄稿】DX時代に求められるもの DXの本質とは?


デジタルマーケティングイノベーションラボ株式会社 山口ユウジ

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世はまさにDX(デジタルトランスフォーメーション)時代と言われています。
しかしながら、そもそも、DXで求められるものはD(デジタル)が主役ではなくX(トランスフォーメーション)、つまり変革ではないでしょうか?
そして、デジタルでいかに新しい収益モデルを起こすか?という過去にとらわれない発想とともに、収益への執着も実に重要です。

X(トランスフォーメーション)が必要ではないところに、無理やりD(デジタル)を持ってきても、本末転倒なこともあるでしょう。また、高額のデジタルツールを導入しても社員が使いこなせず定着しないという問題も同時多発しているようです。
そして、効率化、収益性の向上という経営視点で考えるとき、今一番X(変革)しなければいけないのは、おそらく組織の管理部門でしょう。

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具体的なお話をしましょう。私の会社は2019年に創業しました。ですから、そのタイミングで提供されていた経営支援ツールを導入しています。経営支援ツールもクラウド型のサブスクリプションが進んでいます。例えば会計システム。私の会社で導入している会計システムは銀行口座とクレジットカード、見積書、請求書がすべて一元管理されています。そのため、経費はクレジットカードで支払っておけば自動的に台帳に記載されます。発行した請求書はワンクリックで郵送代行してくれますし、請求書の入金予定に対して銀行口座の入金がマッチングされるため、入金がなかった場合は、入金遅延であることを自動的にアラートしてくれます。銀行もネットバンクのため、銀行の店舗に振り込みに足を運んだことはありません。振込予約機能もありますので、毎月決まった金額の支払いの振込作業は自動です。

こういったものは、会社設立時期がもう少し前であれば、会計ソフトをPCにインストールするのが一般的だったでしょうし、「経費の入力は手作業」という会社も少なくなかったでしょう。昨今のようにリモートワークが提唱されていても、会社に来なければ会計業務ができないということになり、経理担当者の在社が必要ということになります。
従来の仕組みのままの会社は経営効率化が必要になり、「変革」つまりトランスフォーメーションが求められるわけです。しかし、逆を言えば私の会社のように初めからクラウド型を入れていればトランスフォーメーションの必要はないということです。そして、こういったツールの進化だけを指す言葉なら、DXとは少々大げさな表現です。

「トランスフォーメーション」と言えば言葉はスマートです。しかしDXがはやり言葉になっていることには違和感があります。大切なのは「何をX(トランスフォーメーション)する必要があるか?」ではないでしょうか。

利用するツールやサービスによっては、今はあえてトランスフォーメーションしない方が良い場合もあります。特にインフラとなるものは、自社だけでなく相手先も互換性がなければ機能しません。
一般生活者のコミュニケーションインフラになったものの一つはLINEでした。瞬く間に携帯電話キャリアメールの存在感は薄れ、いち企業のツールが社会のコミュニケーションインフラにまで成長したと言っても過言ではないでしょう。

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しかし、ビジネスチャットの世界はまた事情が違っています。ビジネスチャットそのものは便利です。しかし、社会インフラと呼べるほどに市場のシェアを持っているサービスはまだありません。私の仕事でも、Microsoft Teams、Chatwork、slack、messengerと、案件ごとにバラバラです。結局ビジネスの世界ではメールのみが共通インフラのままなのです。
もう少し分かりやすい話で言うと、音楽を楽しむデバイスに、MD(ミニディスク)というものがありました。カセットテープからDXしたものかもしれません。しかし、もう使っている人は少ないでしょう。iPodが登場し音楽をダウンロードするという全く新しいスタイルにX(トランスフォーム)され、昨今ではダウンロードすらしない定額制ストリーミングにX(トランスフォーム)されています。そして、地味に「所有する喜び」という形でCDは息長く存在しています。

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つまり、中途半端なDXによって無駄な投資になりかねないということです。
DXを語るとき、モータリゼーションを例に出す人もいます。1900年のニューヨークタイムズスクエアは馬車がメインの乗り物でした。1913年に撮られたニューヨークタイムズスクエアの写真は、メインの移動手段が自動車にとって代わられていました。これを見ると「DXしなきゃ」となる気持ちは分かりますが、問題は「時代はそんなに単純ではない」ということです。

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先日、ラジオ出演した際に、「デジタルマーケティングって何ですか?」とラジオパーソナリティーの方に素朴に質問されました。
私の答えは「デジタルマーケティングが全く新しいものというよりは、『通常の販売促進≒マーケティング』がもはやデジタルなしには語れなくなったということです。その代表的なものがスマートフォンです。」

デジタルマーケティングの環境は毎年のように変化しています。
以下に私が思いつくままに列挙してみます。

・WEBサイトは、http主流からhttps主流に
・PCファーストからスマートフォンファースト
・メール中心からチャット中心のコミュニケーション
・重たいファイルを相手に送るとき、アップロードしてダウンロードしてもらう方法からクラウドでの共有
・ついこの前までデータドリブンと言っていたのに、昨今は脱クッキー化。データ取りすぎの反動の方向
・リモートワーク
・300×250pxの静止画バナー全盛から1200×628px、正方形バナーが主役に
・動画広告の伸長
・家庭用テレビに、一つのチャンネルのようにYoutubeが登場

これだけでも変化が激しく、全てに的確に対応するのも難しい時代だと思います。
でも、そんなDX時代でも、ECサイトで購入歴のある顧客に紙のDMをたまに送ると、思いの外レスポンスがあるということもあります。デジタルが全て正解ということではないのです。課題があるところに適切なトランスフォーメーションが必要であり、世の中変化に絶妙なタイミングで合わせていくことがDXの本質と私は考えます。

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経団連(日本経済団体連合会)の中西宏明前会長の言葉にDXに関する本質をつく言葉がありました「デジタル技術を活用した成長戦略」。そう、成長戦略が主役であるべきであり、本質なのです。

ちょっとしたデジタルツール導入は効率化ではあっても、成長戦略ではありません。私自身、会社の会計システムに成長戦略を感じたことはありません。
成長戦略を念頭に置くと、取り組むべき課題は見える景色がガラッと変わります。
DXを「はやり言葉」として使う人は、どうも「デジタル」が主になっており、込み入ったことを突っ込むと「細かいことはよくわからないけど」と、やはり本末転倒な印象を受けることもあります。

成長戦略を主眼においた時、広告市場はどう変わってゆくべきなのでしょう?

 

PROFILE

山口 祐司

デジタルマーケティングイノベーションラボ株式会社

2003年株式会社電通西日本に入社。大手移動体通信などの営業を経験後、株式会社電通ダイレクトマーケティングビジネス局に出向し、帰任後デジタルマーケティング担当として、数々の案件に携わる。
2019年4月独立。デジタルマーケティングイノベーションラボ株式会社を設立。
インターネット広告の運用やCRM、SNSに関するコンサルティングを行う。
著書「専門知識ゼロの私にデジタルマーケティングのこと、教えてくれませんか?」(ザメディアジョン)

※このコラムは執筆者の個人的見解であり、株式会社電通西日本の公式見解を示すものではありません。
※このサイトに記載されている社名・商品名・サービス名等は、それぞれの各社商標または登録商標です。

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