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BUSINESS 事業内容

地域の仕事で、世界の舞台へ。
~海外広告賞という壁へのチャレンジ~

今年、電通西日本は携わった3つの仕事で5つの海外広告賞を受賞いたしました。(2020年7月現在)中でも、世界で最も審査が厳しいとも言われるD&AD Awards では金賞に相当するYellow Pencil を受賞。これは、電通を除く電通グループ会社では史上初の受賞です。広告賞は「広告業界のための賞」と捉えられがちですが、海外で評価を得たアイデアやクリエーティブ表現は、企業のブランドイメージを向上させ、ビジネスを活性化。リクルーティングにも貢献するという力を持っています。今回は受賞広告を制作した電通西日本の社員に、企業が抱える課題を解決するアイデアの発想方法や制作背景などを聞いてみました。

EraL ブランドグラフィック(広告主:日華化学株式会社)

【D&AD Awards 2020】Photography 部門 ※1
 Yellow Pencil(イエローペンシル・金賞相当)  〈D&AD Awards 2020 受賞結果〉
【2020 ONE SHOW】Design 部門 ※2
 入賞 〈2020 ONE SHOW 受賞結果〉

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大切なのは、表現のクオリティと裏に秘めたコンセプト。

小林:
EraL は、髪の毛の元である頭皮をケアするトリートメントです。
髪の見た目を気にする人は多いけれど、頭皮にまで関心がいかない人が多い。そのインサイトを表現するために、まずはステートメント及び「髪に隠れて、老いてません?」というキャッチコピーを開発しました。
木下:
「頭皮まで関心が及んでいない」という課題とインサイトをビジュアルで表現できないかと考え、コピーが髪で隠れているという表現にたどり着きました。一見すると、日本画や墨絵のようなトーンにしたのは、日本的な美意識を表現することで質の高いプロダクトとサービスであることを表せると思ったからです。QR コードも書道で使用する落款をモチーフにし、細部までこだわり抜きました。
小林:
D&AD Awards 2020 で評価されたポイントとしては、表現のクオリティと、その表現に至った必然性(=コンセプト)だと思います。
「美しく健康的な髪は、髪そのものではなく隠れて見えない頭皮こそ大事」というコンセプトがあったからこそ誕生したビジュアル。表現のクオリティと裏側のコンセプトがうまく融合して獲れた賞だと思います。今回の受賞をクライアントに報告したところ、大変喜んでいただき、本社のギャラリーでの展示会も検討していただいているそうです。

高松盆栽プロジェクト(広告主:高松商工会議所)

【2020 ADC Awards】Brand/Communication Design 部門 ※3
 銅賞  〈2020 ADC Awards  受賞結果〉

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コミュニケーションを一気通貫させた文脈づくり

小林:
海外広告賞で評価していただいた理由として考えられるのは表現のクオリティの高さに加えて、「文脈づくり」だと思っています。
今回で言えば、実際に始めるのにはハードルが高い盆栽を2 次元のグラフィック化されたユニットにすることで、盆栽のデザインを広く一般に親しみやすくしたこと。こうした文脈があるおかげで、商店街のポスタージャックや小学校の体験授業などが単発の取り組みではなく、ひとつのコンセプトにもとづいた一連の施策として実現しました。また、体験授業に参加してくれた小学生の中には実際の盆栽にも興味を持ってくれた子どももいたのが、嬉しかったです。
今回の海外広告賞受賞の件をクライアントである高松商工会議所様にお伝えしたところ、「受賞を大変うれしく思います。これを機にさらに高松盆栽が世界に広まっていくことを期待しています」というお言葉をいただきました。
今後もコンセプトづくり・文脈づくりを軸に地域の魅力を発掘、そして、広げていくような仕事をしていきます。

金沢ADC展 グラフィック(広告主:金沢アートディレクターズクラブ)

【D&AD Awards 2020】Typography 部門 ※1
 Wood Pencil(ウッドペンシル・銅賞相当)  〈D&AD Awards 2020 受賞結果〉
【New York TDC】Communication Design 部門 ※4
 Typographic Excellence 賞

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加賀藩の名工表に着想を得たタイポグラフィー

木下:
金沢21 世紀美術館と学びの杜 ののいちカレードで毎年開催される金沢ADC 展は期間中、約10,000 人のお客様が訪れる作品展であり、アートディレクターにとっては仕事展示会でもあります。配布されるフライヤーは通常、受賞した作品の紹介を目的にしたものでしたが、誰が作品を制作したかを魅力的に提示することで、会場に訪れる方々とクリエイターのビジネスマッチングにつながるツールになるのではないかと考えました。そこで、「金沢のアートディレクターは現代の名工である」というコンセプトのもと加賀藩の名工表に着想を得たタイポグラフィーをメインに据えたデザインに。クラフト力だけでなく、「何を目的にしたデザインなのか」というコンセプトのところからディティールの部分まで突き詰めていくことを意識しました。
また、今回の受賞に際し、金沢ADC 会長からは、「金沢ADCメンバーの名前が連なったグラフィックが受賞するという栄誉、そして、加賀藩の名工たちを記した表に着想を得たというデザインは、石川・金沢のアートディレクションの現場で活躍する人たちへの最高のプレゼントになった」と大変ありがたいコメントもいただくことができました。

海外で評価された仕事には、すぐれた表現のクオリティに加えて、コミュニケーションを支える強いコンセプトや文脈があります。これからも電通西日本では、課題の本質を見極め、それを解決するアイデアとソリューションで各地域のクライアントビジネスの発展に貢献していきます。

Profile

小林幹  Miki Kobayashi

クリエーティブディレクター/コピーライター

2006 年入社。言葉を軸としたブランドコンセプト開発、企画立案、コピーライティングが強み。

〈主な受賞歴〉
D&AD Awards 2020 Photography 部門:Yellow Pencil、
2020 ADC Awards Brand/Communication Design 部門:銅賞、
2020 ONE SHOW Design 部門:入賞、TCC 新人賞、TCC 賞ファイナリストなど。

木下芳夫  Yoshio Kinoshita

アートディレクター/グラフィックデザイナー

2014 年入社。アートディレクターの視点を生かしたプラスαの企画提案を心がけている。

〈主な受賞歴〉
D&AD Awards 2020 Photography 部門:Yellow Pencil/Typography 部門:Wood Pencil、
2020 ONE SHOW Design部門:入賞、
New York TDC Communication Design 部門:Typographic Excellence、
東京ADC 賞ノミネート、グッドデザイン賞など。

※1 D&AD Awards:
非営利団体D&AD(Design & Art Direction)が、デザインおよび広告における独創性を促進・支援することを目的に創設した賞。全カテゴリーの中で数点しか発表されないことが多く、数多くある広告賞の中でも最難関と言われ、世界のクリエーティブの頂点として長年業界の進化に大きな影響をもたらしている。(1962 年創設)
※2 ONE SHOW(THE ONE SHOW):
世界で最も権威のある広告、デザイン、デジタルマーケティングアワード。ニューヨークの非営利団体「The One Club」によって設立された広告賞で、カンヌ国際広告祭、クリオ賞と並ぶ世界3 大広告賞のひとつとされている。(1975 年創設)
※3 ADC Awards(The ADC Annual Awards):
「美術品同様に厳しい基準で広告が審査される」ことで知られる非営利団体「Art Directors Club(アート・ディレクターズ・クラブ)」(1920 年創設)による、世界で最も歴史のある国際的な広告賞。現在は、非営利団体「The One Club」と「ADC」が合併し、「The One Club for Creativity」が運営。
※4 New York TDC( The Type Directors Club):
ニューヨーク ADC賞同様に審査は厳しく、非営利団体「Type Directors Club」により創設された、国際的にグラフィックアートのタイポグラフィ分野の水準を上げることを目標にした賞。(1946 年創設)

【スタッフクレジット】
EraL ブランドグラフィック(広告主:日華化学株式会社)
Agency:電通西日本 金沢支社、CD・C:小林幹、CD・AD:木下芳夫、撮影:まゆみ瑠衣、ヘアスタイリスト:中澤久仁子、
レタッチ:小山智大、PD:熊倉桂三、Producer:ハセガワヒロシ(真空ラボ)、印刷:山田写真製版所

高松盆栽プロジェクト(広告主:高松商工会議所)
Agency:電通+電通西日本 高松支社、CD・C:澤本嘉光、AD:窪田新、一森加奈子、C:小林幹、Producer:森大樹、
動画:ギークピクチュアズ、WEB:ユニエル

金沢ADC展 グラフィック(広告主:金沢アートディレクターズクラブ)
Agency:電通西日本 金沢支社、AD・D:木下芳夫、PD:黒田典孝、主催:金沢アートディレクターズクラブ、
印刷:山田写真製版所

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