インタビュー

コミュニケーションプランニングセンター
クリエーティブディレクター/コピーライター

板東 英樹

Hideki Bandou

クリエーティブ 統合メディア 統合マーケティング 地域ブランディング

クライアントの想像力から共感を得た広告へ

前例通りの「よくある広告」ではなく、既存の枠組みにとらわれない「人の想いに寄り添う広告」で、ブランディング強化に取り組んでいきます。

クライアントの想像力で世に出た広告

松山支社に勤務して、四国エリアを中心とした企業のコミュニケーション全般を担当しています。地元で長いおつきあいのある企業も多く、その一つが創業105年の村田葬儀社です。
2003年、同社が90周年を迎えた年に、葬祭会館の改装オープンを告知する新聞の全面広告を依頼されました。当時はまだ「終活」という言葉も世の中になかった時代。クライアントがイメージされていたのは、会館の写真を大きく掲載する、いわゆる竣工広告でした。前例通りに作れば、よくある広告として埋もれてしまう。それでは、もったいない。人の想いに寄り添って来た、企業としてのメッセージを伝える広告にできないか。そう考えて、本当に提案したい広告を、別案としてプレゼンしたのです。
それは、「いちばん悲しいはずの人が、いちばん忙しいお葬式は悲しい。」というキャッチコピーが主役の広告でした。会館の写真は隅に小さく載せるだけ。予想通り、プレゼンでは賛否両論ありましたが、最終的にはこの案が採用されることに。正直、驚きました。葬儀社がメッセージ広告を出すことなど、考えられなかった時代の英断です。これから先の葬祭業のあり方を視野に入れた、クライアントの想像力がなければ、世に出なかった広告かもしれません。おかげさまで、この広告は多くの人に共感していただき、地元で話題になりました。

普遍的なものほど心に響く、記憶に残る

一本のキャッチコピーが縁をつないでくれた村田葬儀社の仕事は、15年以上つづいています。その間、葬祭ビジネスを取り巻く環境は大きく変わり、「終活」の意識が高まるにつれて、同業他社との競争が激化しています。こうした時代背景のなか、クラアイントと私たちは同じ目的に向かうチームとなって、老舗葬儀社としてのブランディング強化に取り組んで来ました。

広告に関しては、チラシからCMまでトータルに手がけていますが、特に注目されたのが企業CMです。「あの世行き列車」という非日常空間を舞台に、「死」を「生」で描いたこのCMは、オンエア直後から多くの反響がありました。SNSでは「ヤバイ!キタッ!」「うー、何回見ても涙目になるぅ」など若い世代の感想が飛び交い、「このCMを見て、父の葬儀をお願いして本当に良かったと、あらためて思いました」という、ありがたい言葉も頂戴しました。さらに、アジア最大の広告賞Spikes Asiaブロンズ、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS ゴールドやギャラクシー賞奨励賞など、数々の広告賞を授賞したことによって、村田葬儀社の名は全国的に知られることになったのです。

人の想いに寄り添うという、企業広告のスタンスを変えることなく、普遍的な表現を目指したことで、幅広い世代の心に響くCMになったのかもしれません。

企業活動を言語化することで得られるもの

言葉を大事にする企業のコミュニケーションは、新聞広告やCMだけではありません。その一例として、村田葬儀社の場合は、地元に密着した企業活動を紹介しています。同社では長年、子どもたちのために「ぬいぐるみ供養祭」を無料で行ってきました。捨てるに捨てられない、愛着のあるぬいぐるみを抱えて供養祭に参加した子どもたちは、小さな手を合わせて心あたたまる葬儀を体験します。その取り組みを知ったとき、素晴らしい社会貢献だと感動しました。と同時に、親から子へ、孫へ、何世代にもわたってファンを育てることができる活動だと思ったのです。

そこで、大切な相手を想う気持ちを育む「想育」という言葉を提案し、「ぬいぐるみ供養祭」をつづける意義を明確にするお手伝いをしました。その結果、地元の方々に広く認知されただけでなく、インナーの意識向上にも役立ったという評価をいただきました。社内では、取り立ててアピールすることではないと思われている活動の中にも、企業イメージの向上につながるものがあります。それらを見つけ出して言語化し、価値を高めるのも私たちの仕事です。

今後、人生の最期に深く関わる企業の可能性は、ますます広がって行くことでしょう。私たちもチームの一員として、クライアントの発展に貢献したいと思っています。


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